倒伏期間を考慮したイタリアンライグラスの耐倒伏性の評価方法 |
|
[要約] |
出穂始日を基準として、当該試験ではじめて倒伏が観察された日から最も早く刈取調査を実施した品種の刈取日までの各日の倒伏程度の角変換値の平均の平方根変換値(倒伏指数(LI))により品種の耐倒伏性程度を的確に把握できる。 |
![]()
[キーワード]飼料作物育種、イタリアンライグラス、耐倒伏性、倒伏程度、倒伏指数 |
![]()
[担当]茨城畜セ・飼料研究室
[代表連絡先]電話:0299-43-3333
[区分]畜産草地、関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]研究・参考 |
|
[背景・ねらい] |
飼料作物において耐倒伏性の向上は収量性向上と並ぶ重要な育種目標である。イタリアンライグラスでは刈取時の倒伏程度を評点することにより当該品種・系統の耐倒伏性を評価するが、供試品種・系統の大部分が刈取時までに著しく倒伏すると耐倒伏性の評価が困難となる。そのため、そのような条件下でもイタリアンライグラス品種・系統の持つ耐倒伏性を評価できる方法を開発する。 |
![]() [成果の内容・特徴] |
1. |
出穂始日を基準として当該年の試験ではじめて倒伏が観察された品種の倒伏始日から最も早く刈取調査を実施した品種の刈取日までの各日のそれぞれの品種の倒伏程度(評点値(1(無)〜9(甚))を%換算(0(無)〜100(甚))、角変換した値の平均(x)を平方根変換した値を倒伏指数(LI、LI=(x+0.5)0.5)とする。 |
2. |
2003年のLIと刈取時倒伏程度の相関係数は0.701、2004年のそれは0.652であった。またLIの年次間の相関係数は0.908(P<0.001)であった(図1)。これらは刈取時倒伏程度の年次間の相関係数(0.600)より高く、LIの有効性が示される。 |
3. |
LIが品種の耐倒伏性程度をより的確に把握できる理由として、同程度の刈取時倒伏程度でも品種によって出穂始日を基準とした倒伏始日の違いが大きい場合があることや、刈取時倒伏程度が低くても出穂日よりかなり前から倒伏しはじめる品種がある(表1)ことが考えられる。 |
|
![]() [成果の活用面・留意点] |
1. |
耐倒伏性イタリアンライグラス品種育成に際して、系統評価の最終段階、および系適・特性検定でのより綿密な耐倒伏性の評価に利用できるほか、府県での奨励品種選定試験の際の耐倒伏性の評価にも利用できる。 |
2. |
収量や早晩性が大きく異なる品種・系統間で、LIのみの比較で耐倒伏性の強弱を議論するのは適切でない。 |
3. |
全く倒伏が観察されない、または全供試品種が早い段階で一斉に完全に倒伏した場合には、LIによっても品種の耐倒伏性を評価できない。 |
|
[具体的データ]
|
|
|
![]() [その他] |
研究課題名:イタリアンライグラスの新品種育成試験
予算区分:指定試験
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:深沢芳隆、矢萩久嗣
|
|
目次へ戻る |