ブドウ「ロザリオビアンコ」の平行整枝長梢せん定栽培


[要約]
「ロザリオビアンコ」栽培において、2m間隔の平行な直線上に長梢せん定した結果母枝を誘引する。この結果母枝の列1mの間に16本の新梢を配置し7から8房を着果させることで、自然形整枝より18%少ない作業時間で同等の収量、果実品質が確保できる。

[キーワード]ブドウ、平行整枝、長梢せん定、結果母枝、省力化

[担当]愛知農総試・園芸研究部・落葉果樹グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  「ロザリオビアンコ」は発芽率が低く着花が悪いため、せん定時に多めの芽数を残し、着花・着粒が確認されるまで多くの新梢が残される。また樹勢が強く新梢は長いため、新梢管理には多大な労力を要する。平行整枝の導入により作業労力軽減が期待できるが、短梢剪定では不発芽により新梢が確保できず、これにより翌年の結果母枝も欠落することから、長梢せん定と組み合わせた平行整枝を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. ロザリオビアンコの平行整枝長梢せん定栽培では、6〜8節で切り返しせん定した結果母枝を、2m間隔で平行に設定した直線上に誘引し、結果母枝列を形成する(図1)。
2. せん定時に結果母枝列1mの間に40から50芽が残るように、結果母枝を2重強重ねて誘引し、発芽した新梢を16本残す。1m2あたりにすると20から25の芽数を残し、8本の新梢を残すことになる。発芽率は整枝による差はなく、これにより自然形整枝の場合と同様に1m2当たり新梢8本が確保できる(表1)。
3. 花穂の着生には整枝の違いによる差はなく、1m2あたり4房程度の果房確保が可能である。平行整枝の場合は、結果母枝列1mの間に7から8房を着房させる。
4. 平行整枝の果実品質は、自然形整枝と比較して糖度が高く、酸が少なくなる。収量性は自然形整枝と同等ないしそれ以上である(表2)。
5. 平行整枝の導入により、せん定、結果母枝の誘引作業時間は自然形整枝より20%多く要するが、新梢誘引は13から26%、摘心は65%作業時間が短縮でき、発芽から収穫までの主な管理作業の合計で27%、冬期のせん定作業を含めると18%の作業時間が短縮できる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は自然形整枝の既存樹を樹形改造する場合において活用できる。樹型改造にあたっては改造当年も収量の減少はほとんどない。
2. せん定時、前年の結果母枝の基部から発生した新梢を積極的に結果母枝として利用し、枝のはげ上がりを防止する。


[具体的データ]

図1 平行整枝長梢せん定樹の模式図と結果母枝の誘引状況
表1 平行整枝ロザリオビアンコの結果母枝および発芽、花穂着生の状況 (2006)
表2 平行整枝ロザリオビアンコの果実品質x、収量y (上段2005、下段2006)
表3 主な管理作業の10aあたり作業時間(時間) (2006)

[その他]
研究課題名:落葉果樹の省力、高品質安定栽培技術
予算区分:県単
研究期間:2000〜2006年度
研究担当者:上林義幸、成田秋義、大野郁夫

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