カキ「蓮台寺」の果実軟化抑制のための炭酸ガス脱渋条件


[要約]
カキ「蓮台寺」果実の脱渋条件15℃・24時間・CO2濃度80%で軟化抑制効果が高く、加圧力が高いほど脱渋が早い。気温が高い収穫時期を想定した25℃では、脱渋時間を16時間に短縮すると軟化抑制効果が高い。

[キーワード]カキ、蓮台寺、脱渋、軟化

[担当]三重科技セ・農業研究部・園芸研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6358
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  不完全甘柿「蓮台寺」の脱渋は、常圧より高めて行われるが、その庫内加圧力は農家によって約0.02〜0.1MPaの範囲で差がある。さらに、脱渋庫の設置方法や炭酸ガス濃度も個々の農家によって異なるため、果実の軟化程度に差あり、早いものでは2、3日で軟化することが問題となっている。そこで、「蓮台寺」における果実軟化抑制効果の高い脱渋条件を確立するために、脱渋処理時の温度、圧力および時間と軟化果実発生との関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 脱渋時の加圧0.05MPaでは、処理温度(15〜25℃)にかかわらず処理1日後で脱渋されるが、低加圧(0.005〜0.02MPa)でも店頭に陳列される処理2日後までには脱渋される(表1)。
2. 慣行条件下(脱渋時の加圧前CO2濃度80%、処理時間24時間、加圧0.02MPa)では、脱渋温度は25℃より15℃の方が軟化果実の発生が遅い(図1)。
3. 脱渋処理温度15℃では脱渋時圧力の違いによる脱渋後の軟化果発生に差はないが、25℃では高い圧力で軟化果実の発生が早い(図1)。
4. 25℃・0.02MPaでは脱渋処理時間が短いほど軟化果実の発生が遅く、脱渋処理を16時間にすると脱渋処理10日後でも果実軟化率を20%以下に抑制できる(図3)。また、脱渋処理時間を短くしても脱渋処理2日後までには脱渋される(データ省略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 現場では様々な仕様の脱渋庫が使用されているため、個々の脱渋庫において温度変化等の特性を把握した上で利用する必要がある。
2. 気温が低い時期の脱渋温度は15℃程度に設定し、加温しすぎないよう留意する。
3. 収穫終期の果実で脱渋時間を短縮すると脱渋が不完全な場合がある。


[具体的データ]

表1 脱渋処理後の渋抜け程度(2004年) 図1 脱渋時の加圧程度の違いによる軟化発生(2004年)
図2 脱渋時の加圧程度の違いによる軟化発生(2004年) 図3 脱渋時間の違いが果実軟化に及ぼす影響(2005年)

[その他]
研究課題名:三重のふるさと特産果樹新品種開発事業
予算区分:県単
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:三井  友宏、伊藤  寿、市ノ木山  浩道

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