山梨県における将来の温度上昇予測とメッシュ地図の作成


[要約]
過去の気温上昇傾向が今後も続くと、甲府の年平均気温は30年後に約1.3℃上昇する。とくに最低気温の上昇割合が大きい。平年値と30年後の気温分布をメッシュ地図化することで、地域単位で気温変化が確認できる。

[キーワード]気候温暖化、予測、気温上昇、メッシュ化、地図

[担当]山梨果樹試
[代表連絡先]電話:0553-22-1921
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  過去の気温の推移から30年後の気温上昇値を算出し、将来の温度環境を予測することで、気候温暖化による農作物の生育環境の変化を明らかにするための基礎資料を得る。また、気温分布をメッシュ化し、地域ごとの気温変化を明確にする。

[成果の内容・特徴]
1. 過去40年の甲府地方気象台の観測値から推定した年平均気温の上昇幅は、年0.421℃である。この気温の上昇傾向が今後も続くと仮定すると、30年後には年平均気温が約1.3℃の上昇すると見込まれる(図1)。
2. 同様の手法で気温要素別に上昇傾向をみると、最高気温にくらべ最低気温の上昇割合が大きい。また、季節的な特徴として、夏期に最高気温の上昇割合が大きい(図2)。
3. アメダスデータのメッシュ化プログラム(*)を利用し、年・月の平均、最高、最低気温について、平年値と30年後の気温分布のメッシュ地図を作成した(図3)。メッシュ地図により、気温変化の様子を地域単位で視覚的に確認できる。
      *アメダスデータのメッシュ化プログラム Ver.4.2
          (独法)農業環境技術研究所職務作成プログラム(P第4068号-1)

[成果の活用面・留意点]
1. 気候温暖化による果樹の生育環境や生育の変化を予測する際の資料として活用する。
2. メッシュ化したデータは、最高、最低、平均気温の年および月平均値である。平年値のメッシュ地図と同様に画像ファイルとして閲覧が可能である。
3. 甲府地方気象台の気象推移をもとに暫定的に求めた温度上昇値であり、都市化の影響や他に公表されている気候変動予測は考慮していない。他の予測情報を用いても同様な手法でメッシュ化が可能である。


[具体的データ]

図1 過去の気温をもとにした気温上昇値の算出方法(年平均気温の例)
図2 過去の気温推移をもとにした年・月別の最高、最低気温の30年後の気温上昇値
図3 アメダスデータのメッシュ化プログラムによる30年後の温度分布(年平均気温)

[その他]
研究課題名:温暖化による気象変動が果樹の生育・成熟等に及ぼす影響予測
予算区分:県単
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:齊藤典義、猪股雅人、富田晃、村上芳照、手塚誉裕

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