キュウコンベゴニアの新品種育成


[要約]
千葉県の登録品種であるベゴニア「コーラルファンタジー」(濃桃)の葉挿し繁殖株から花色の変異個体を確認し、花色・花型の優れた新品種「クリーミーファンタジー」(淡黄)と「アプリコットファンタジー」(浅橙)を育成した。三色揃うことで、生産・消費の拡大が期待できる。

[キーワード]品種育成、キュウコンベゴニア、繁殖、花色の変異

[担当]千葉農総研・育種研究所・野菜花き育種研究室
[代表連絡先]電話:0475-32-3379
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  農業総合研究センターでは、2004年度に新しいタイプのキュウコンベゴニア「コーラルファンタジー」を育成した。しかし、生産者や消費者から、他の花色系統の育成を強く要望されていた。今回育成した二つの新品種は、「コーラルファンタジー」の葉挿し繁殖株から得られた変異個体を選抜したものである。

[成果の内容・特徴]
1. 2005年4月に「コーラルファンタジー」繁殖株から花色の異なった2系統の変異株を確認し、その株を基に繁殖を繰り返し行い、固定した系統を同年11月に挿し芽をし、選抜・固定した系統である。この2系統は2006年2月に特性調査を実施し、同年6月に登録出願申請を行い、10月に出願公表された。
2. 品種の特性
(1) 2品種とも「コーラルファンタジー」の特性に類似した形質を示した(表1)。
(2) 花色は「コーラルファンタジー」の濃桃色に対し、「クリーミーファンタジー」は淡黄色、「アプリコットファンタジー」は浅橙色である(図1図2)。
(3) 花径は7cm前後で、極めて花着きの良い八重咲きである。
(4) 繁殖は、頂芽挿しや葉挿しにより行うが、生育が速く、栽培も比較的容易である。
(5) 特性を十分に発揮するには、春〜初夏にかけての出荷が望ましい。

[成果の活用面・留意点]
1. 県内の生産者団体等と許諾契約を締結し、2007年春から出荷の予定である。
2. 葉挿し繁殖で不定芽が多く出る場合は、芽数を調整し、品質の向上に努める。
3. 6月下旬以降、高温の影響により、花弁が短くなったり、花弁の減少が見られ、正常な特性が発揮されない場合がある。


[具体的データ]

表1  開花時の特性(2006年2月16日、出荷適期時)
図1 「クリーミーファンタジー」 図2 「アプリコットファンタジー」

[その他]
研究課題名:ベゴニア類の新品種育成
予算区分:県単
研究期間:2003〜2006年度
研究担当者:関   栄一
発表論文等: クリーミーファンタジー
品種登録出願申請(2006年6月14日出願、出願番号19866号、出願公表同年10月25日)
アプリコットファンタジー
品種登録出願申請(2006年6月14日出願、出願番号19867号、出願公表同年10月25日)


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