間欠給肥と底面給液容器によるバラ養液栽培の排出肥料削減技術


[要約]
バラの養液栽培における排出肥料削減技術として、間欠給肥法と底面給液を組み合わせた栽培システムを開発した。この技術により、バラの収量は従来のロックウールかけ流し式と同程度で、投入肥料は66%削減、排出チッ素成分は45%削減することができる。

[キーワード]バラ、養液栽培、間欠給肥、底面給液、肥料削減、環境負荷軽減

[担当]静岡農試・園芸部
[代表連絡先]電話:0538-36-1555
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  静岡県のバラ切花栽培の45%は養液栽培で、ほとんどがロックウールかけ流し式であり、余った肥料はそのまま河川等に排出されている。ここでは、肥料と水とを分けて与える間欠給肥法と、底面給液容器を組み合わせたシステムで、投入肥料量と、排出する肥料成分を大幅に削減し、かけ流し式と同程度の収量が可能なシステムを開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 栽培容器は、容量35Lの培地部・11Lの貯水部があり、バラ10株を定植する(図1)。給液された養液は、容器の下部に溜まり、底面給液で作物に利用される。給液は液肥を継続的に与えるのではなく、液肥を与える回数を削減し、代わりに水のみを与えることで(間欠給肥法 図2)、容器内に溜まった肥料濃度を薄くすることができ、与える肥料量と排出肥料成分を削減できる。容器には側面に排水口があるため、過湿状態となることはない。
2. 養液組成は、かけ流し処方NO3-N:12.0,P:3.5,K:4.5,Ca:7.5,Mg:2.0(me/L)、EC1.6を用いる。微量要素は、Fe:3ppm、Mn:0.5ppm、B:0.3ppm、Cu:0.04ppm、Zn:0.1ppm、Mo:0.02ppmの濃度を標準とする。
3. 肥料と水を間欠に与える間欠給肥法と、底面給液容器を用いたバラ養液栽培の1年間の収量・品質は、連続給肥法及び、慣行のロックウールかけ流し式と同等である(表1)。
4. 間欠給肥法は、連続給肥に比較して、排出チッ素成分の約45%削減できる(表1)。また、かん水時に、水のみを与えるよりは、微量要素を加えることで収穫本数・切り花総重量が増加する(表2)。切花の日持ち日数には、影響を与えない(データ省略)。
5. 液肥の回数を削減することで、肥料使用量が慣行に対して約66%削減でき、肥料コストが削減できる。
6. 栽培容器は独立しているため、養液伝染性の病気は当該容器だけで済む。

[成果の活用面・留意点]
1. 培地はフェノール樹脂を用い、給液はタイマー制御の点滴かん水で、排液率約30%で行った。温室内で、冬期最低夜温17℃で栽培した結果である。
2. 肥料濃度を従来の1/3濃度にした場合でも、慣行と同等の収量が得られるが、葉の黄化が増加する(表1)。
3. 栽培ベッド、培地、給液コントローラ等を含めた、間欠給肥システムの新規導入価格は、約600万円/10aである。肥料費は、年間約6,600円/10a削減できる。


[具体的データ]

図1 底面給液容器 図2 間欠給肥法の給液例
表1 培地と給液法及び給液処方の違いがバラ’ローテローゼ’の収量と品質に及ぼす影響
表2 かん水時の微量要素有無が’ローテローゼ’の収量品質に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:間欠給肥法で排出肥料を大幅削減できるバラ養液栽培システムの開発
予算区分:国委
研究期間:2004〜2006年
研究担当者:佐藤展之、寺田吉徳、貫井秀樹、高田久美子、嶋本久二(株プランツ)、山ア完治
発表論文等:特許出願番号 2006-069681

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