関東中部平坦地のブロッコリー産地における降雨による被害要因の解析


[要約]
埼玉県内のブロッコリー産地における降雨被害要因としては、栽培ほ場の排水環境及び生育初期にあたる8〜9月の多雨の影響が大きい。また、浸水時の生育ステージが小さいほど、浸水中の地温が高いほど影響が大きく、品種の耐湿性の強弱も影響し、生育遅延や減収を招く。

[キーワード]ブロッコリー、降雨被害、生育遅延、要因解析

[担当]埼玉農総研・園芸研究所・露地野菜担当、野菜・花担当
[代表連絡先]電話:0480-21-1113
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  埼玉県のブロッコリー生産は、全国1位の生産量を誇り、大消費地である首都圏への供給基地となっている。しかし、栽培期間中に天候不順に遭遇することが多く、周辺道路より低位、排水路等未整備・不備、地表下15〜20cmの硬盤形成あるいはほ場内起伏が著しい等の特徴がみられるほ場では、これまでたびたび台風等による大雨の被害を受けてきた。そこで、ブロッコリーの降雨リスクを軽減化する営農技術を確立するため、埼玉県内のブロッコリー産地における被害実態及び発生要因を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 定植後の8〜9月の間に、30mm以上の降雨日数が多く、降雨量が多い年は被害が大きく、減収する。(図1)。
2. ブロッコリーでは、5日間株元まで浸水した場合、生育ステージが若いほど浸水により生育の遅延が起きやすく、また品種によって、浸水による影響を受けやすい生育ステージや被害程度に差がある(表1)。
3. 浸水時の地温は、高いほどその後のブロッコリーの生育に悪影響を与え、特に35℃以上の高地温では、著しい生育抑制を招く(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 降雨被害の起こりやすいほ場において、降雨被害を低減するための対策を策定する際の資料となる。


[具体的データ]

図1 大雨発生年の月別降雨量と降雨日数(30mm以上)
図2 大雨発生年の対前年出荷量 図3 浸水処理時の地温と定植25日後の1株重
表1 浸水処理が収穫に与える影響

[その他]
研究課題名:平成16年度の降雨被害地における被害要因の解析
予算区分:高度化事業
研究期間:2005〜2006年度
研究担当者:太田友代、河野勉、上田智子、塚沢和憲、関口明男、清野英樹

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