ダイコンの内部褐変症の品種間差と木部柔細胞の大きさとの関係


[要約]
ダイコンの内部褐変症の発生の品種間差と木部柔細胞の大きさとの間には密接な関係があり、障害が発生しにくい品種は障害が発生しやすい品種に比べて柔細胞の平均最大径が小さく細胞の数が多い。

[キーワード]ダイコン、内部褐変症、木部柔細胞、品種間差

[担当]石川農研・砂丘地農業試験場
[代表連絡先]電話:076-283-0073
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  ダイコンの内部褐変症は高温下の栽培で生育後半に根身内部に発生する生理障害であるが、障害の発生には品種間差があることが知られている。ここでは、5月下旬に8品種を播種し、内部褐変症の発生状況と木部柔細胞の大きさとの関係を調査し、本障害の品種間差に関与する形態的特性の差違を組織学的側面から明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 内部褐変症の発生には品種間差があり、「源助」、「三浦」、「宮重長太」は「若駒」、「耐病総太」、「美濃早生」、「福天下」、「天安紅心」に比べて障害の発生が少なく、障害程度も軽微である(図1)。
2. 葉根部の生育(葉重、根重、根径)の品種間差と内部褐変症発生の難易性との間には一定の関係は認められない(データ省略)。
3. 内部褐変症の発生の品種間差と木部柔細胞の大きさとの間には密接な関係があり、障害が発生しにくい「源助」、「三浦」、「宮重長太」は柔細胞の平均最大径が50〜60μmと小さく79μm以下の小さな細胞の数が多い。一方、障害が発生しやすい「若駒」、「耐病総太」、「美濃早生」、「福天下」、「天安紅心」は柔細胞の平均最大径が110〜150μmと大きく120μm以上の大きな細胞の数が多い(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 平均最大径が100μm以上の大きな柔細胞の多い品種は内部褐変症が発生しやすく、高温下の栽培における品種選定の一判断基準となる。


[具体的データ]

図1.収穫時(播種後60日)の障害程度別発生率の品種間差
図2.木部柔細胞の平均最大径の品種間差
図3.大きさ別木部柔細胞の割合の品種間差

[その他]
研究課題名:業務・加工用ダイコンの内部褐変症対策試験
予算区分:加工プロ
研究期間:2006年度
研究担当者:福岡信之、増田大祐、金森友里

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