直接被覆による茶品種「山の息吹」の一番茶の色沢改善


[要約]
「山の息吹」の一番茶が3葉期を過ぎてから、遮光率85%の資材で5〜8日間直接被覆すると、香気と滋味の特徴を損なわず、やや黄緑色を帯びている色沢を改善することができる。

[キーワード]チャ、山の息吹、直接被覆、被覆、遮光

[担当]静岡茶試・栽培研究
[代表連絡先]電話:0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  「山の息吹」は、新緑を感じさせる軽やかな香気を持ち、渋みが少なく上品な旨味を呈するため、生産者から期待されている早生品種である。しかしながら、静岡県内の一部平坦地域では、新芽がやや黄色みを帯び、荒茶の色沢がやや黄緑色になると指摘され、色沢の改善が求められている。

[成果の内容・特徴]
1. 遮光率85%の資材で被覆期間を変えて直接被覆すると、7日間以上の被覆により生葉の色は緑色になり、色沢は改善する。しかし、被覆期間が長いほど減収する傾向がある(表1)。
2. 10日間以上の直接被覆により荒茶色沢の改善効果は著しいが、香気に覆い香が認められる。また、被覆期間が長いと渋みを呈す成分であるタンニンの含有率が減少するため、元々渋みの少ない「山の息吹」の滋味はやや薄くなる(表2図1)。
3. 一番茶が3葉期を過ぎてから遮光率85%の資材で5〜8日間直接被覆することにより、収量は無被覆に対して93〜96%となり、被覆による影響が少なくて済む(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 荒茶の色沢がやや黄緑色を帯びるという傾向は、平坦地域で多く山間地域では少ないため、主に本県平坦地域で適用する。
2. 本試験は遮光率85%の黒色ラッセル編資材を用いた結果であるが、遮光率60〜80%の黒色のラッセル編、カラミ織資材でもほぼ同程度の被覆効果が期待できる。


[具体的データ]

表1 被覆期間の違いが一番茶の収量及び生葉の色に及ぼす影響 表2 被覆期間の違いが一番茶の荒茶品質に及ぼす影響
図1 被覆期間の違いがアミノ酸、タンニン含有率に及ぼす影響 表3  被覆時期と期間が収量、荒茶品質に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:早生新品種「山の息吹」の遮光処理による生葉品質の改善
予算区分:県単
研究期間:2005〜2006年度
研究担当者:望月和男、鈴木利和、大石哲也

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