チャの被覆栽培における無機成分の吸収特性


[要約]
チャの被覆栽培はカルシウム、マグネシウムを始め無機成分の吸収を抑制し、この抑制は二重被覆時に顕著となる。また、被覆を除去した後も2か月程度は多くの無機成分の吸収が抑制される。

[キーワード]チャ、砂耕試験、被覆栽培、無機成分、吸収抑制

[担当]愛知農総試・東三河農業研究所・茶業グループ
[代表連絡先]電話:0532-61-6296
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  施用した肥料成分を茶樹に効率的に利用させるには、成分の吸収特性を知る必要があるが、今まで棚掛けの被覆栽培についてはほとんど検討されていない。そこで、砂耕試験(図1)により被覆処理した茶樹の無機成分吸収特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 被覆を行うと各成分の吸収量が抑制される。その抑制は遮光率70%の一重被覆より遮光率98%の二重被覆時の方が顕著である(図2)。
2. 被覆による吸収量の抑制はカルシウム、マグネシウム、水、カリウム及び鉄で大きく、窒素、アルミニウム及びマンガンで小さい。特に、カルシウム及びマグネシウムは二重被覆期間中ほとんど吸収されない(図2)。
3. 摘採葉中の無機成分含有量は、特定の成分が顕著に少なくなるという傾向は見られない(図3)。
4. 被覆を除去した後もマンガンを除いて各成分の吸収抑制は続く。無被覆区と同様な吸収量に回復するには、いずれの成分も2か月以上を要する(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. てん茶栽培における施肥を含めた栽培管理を検討する場面で活用できる。
2. 本成果は砂耕試験から得られたものである。
3. 本試験の被覆区は無被覆区に比べて花芽着生茎が多く、カンザワハダニの寄生も多い傾向にある。


[具体的データ]

図1 砂耕試験の概略図
図2 被覆が茶樹の各成分吸収に及ぼす影響(2005年4.18〜5.13) 図3 被覆が新芽の生育及び各成分吸収に及ぼす影響(2005年5月13日)
図4  被覆除去後の各成分吸収抑制の推移(2005年)

[その他]
研究課題名:仕立て法別の茶樹の栄養特性の解明
予算区分:県単
研究期間:2005〜2008年度
研究担当者:滝本雅章、白井一則、辻正樹、木下忠孝

目次へ戻る