SNP判別PCRを利用したツマグロヨコバイ抵抗性イネの効率的選抜技術


[要約]
ツマグロヨコバイ抵抗性遺伝子をもつイネのDNAマーカーによる選抜には、SNP判別PCRを用いる方法が、CAPS法を用いる従来の方法より、簡便かつ低コストである。

[キーワード]育種選抜、DNAマーカー、ツマグロヨコバイ抵抗性、SNP判別PCR

[担当]千葉農総研・生物工学部・遺伝子工学研究室
[代表連絡先]電話:043-291-9534
[区分]関東東海北陸農業・生物工学
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  交配系統のツマグロヨコバイ抵抗性遺伝子座の検出は、これまではCAPS法を用いて行っていたが、この方法ではPCR反応液を精製せずに制限酵素処理をすると結果が不安定になることがあった。また、CAPS法によるDNA多型の検出は、PCRによる増幅と制限酵素による切断の2つの手順をふむため作業が煩雑になり、さらに、ランニングコストが高いなどの欠点がある。このため、育種選抜のように多数のサンプルを処理する場合にはさらに簡便、低コストな方法の開発が望まれる。そこで、DNA多型の検出を簡便かつ正確、低コストで行える技術開発を行う。

[成果の内容・特徴]
1. SNPsを検出するため、林らの方法(Theor Appl Genet (2004) 108:1212-1220;以下SNP判別PCRとする)は、PCRの増幅だけでDNA多型の検出が可能であり、手順が簡単で低コストであることが知られている。イネ育種系統のツマグロヨコバイ抵抗性の判別に、この方法の応用を試みた。ツマグロヨコバイ抵抗性遺伝子Grh4に連鎖するDNAマーカーG144(田村、平成12年度先端技術等地域実用化研究促進事業成績概要集P3-12)をCAPS法で判定する際に得られる抵抗性型及び感受性型のPCR産物の塩基配列を調べた。抵抗性型及び感受性型の間に多型が認められたので、Hayashi et al.(2004)の方法に従って表1のようにプライマーを設計した。抵抗性系統の「中母農6号」では約380bpのバンドが、感受性系統の「ふさおとめ」では約240bpのバンドが明瞭に認められ、PCRのみでG144の遺伝子型の判別が可能である(図1)。
2. 交配系統141個体のDNAを用いて、SNP判別PCRによる方法とCAPS法の結果を比較したところ、いずれの個体でも同じ結果が得られた(表2)。以上の結果から、SNP判別PCRによる遺伝子型の判別法はCAPS法に比較して簡便、正確かつ安価と判断される。

[成果の活用面・留意点]
1. SNP判別PCRはツマグロヨコバイ抵抗性だけでなく、品種判別や他の形質の選抜に用いることも可能である。
2. ツマグロヨコバイ抵抗性遺伝子Grh2に連鎖するDNAマーカーと併用することにより、効率的なツマグロヨコバイ抵抗性系統の選抜ができる。


[具体的データ]

表1 SNP判別PCRの実験条件
図1 SNP 判別PCRの増幅結果 表2 SNP判別PCRとCAPS法の結果の比較

[その他]
研究課題名:イネのツマグロヨコバイ抵抗性育種に供するDNAマーカーのSNPsマーカー化
予算区分:県単
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:深見正信、西川康之、青木孝一

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