マーガレットとハナワギクとの属間雑種作出のための効率的な培養方法


[要約]
マーガレットとハナワギクとの属間雑種を効率的に得るには、交配約3週間後に子房から胚珠を摘出し培養する胚珠培養が適している。

[キーワード]胚珠培養、子房培養、属間雑種、マーガレット、ハナワギク、交雑育種

[担当]静岡農試・生物工学部・生物工学育種研究
[代表連絡先]電話:0538-36-1558
[区分]関東東海北陸農業・生物工学
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  本県特産花きであるマーガレットの栽培品種の多様化を図るために、マーガレット栽培品種と近縁属を用いたマーガレットの属間雑種育種法に取り組んでいる。そこで、効率的に属間雑種を作出するための培養方法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 交配適期は、胚珠形成数から判断して5月中旬である(図1)。種子親は管状花の周縁部2〜3列が開花したマーガレットとし、花粉親は交配当日に採集したハナワギク花粉を用いる。
2. マーガレットとハナワギクの属間雑種における胚珠の肥大は交配2週間後、白色化は3週間後に観察され、胚は、交配2週間後から発達するが4週間後には退化が始まるので、培養開始の適期は交配後3週間程度である(図2)。
3. 胚珠培養では、供試した子房の3割で胚珠の形成が確認され、そのうち半数で発芽個体を得られる(表1、2006年12月現在)。

[成果の活用面・留意点]
1. 交配及び培養開始適期は、静岡県における無加温ハウス内(最低夜温15℃)を基準とする。
2. 培養方法は、交配3週間後の管状花を滅菌し、顕微鏡下で子房から胚珠を摘出し、IAAを0.2mg/lを含む1/2MS培地に置床し、25℃16時間照明下で培養する。
3. これまでにマーガレットとハナワギクの交配組合せで「クイーンマイス」、「ルビークイーン」等の属間雑種品種が育成され、上記手法によりさらに新花色や連続開花性を持つ品種の育成が期待できる。


[具体的データ]

図1 交配時期別の総状花あたりの胚珠形成数(2006年)
図2 種子親マーガレット「97-31-1」と花粉親Argyranthemum maderense、近縁属ハナワギク「メリーミックス」との交配後の子房、胚珠および胚の生育の様子
表1 培養方法の違いによる発芽個体数の比較1),2)

[その他]
研究課題名:放射線を利用した本県特産花きの育種技術開発と優良品種・母本の育成
予算区分:国交(放射線)
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:岩ア勇次郎、植田陽子、山田栄成

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