白色花から黄色花に変異したスプレーギクの黄色花は白色花に戻ることがある


[要約]
白花色から黄花色へ変異したスプレーギク品種・系統に、X線を照射することにより、再び白色花に戻ることがある。

[キーワード]スプレーギク、突然変異育種、花色変異、カロテノイド分解酵素遺伝子

[担当]静岡農試・生物工学部・生物工学育種研
[代表連絡先]電話:0538-36-1558
[区分]関東東海北陸農業・生物工学
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  スプレーギクでは同じ花型で多彩な花色が求められており、枝変わり等による花色変異品種が活用されている。
  キクの白色花弁では、合成されたカロテノイドが花弁特異的に発現するカロテノイド分解酵素(CmCCD4a)により分解され白色となることが(独)花き研究所における解析により示されている。そこで、既存の白色花から黄色花に変異した系統について、CmCCD4aの有無と当遺伝子を有する変異品種・系統にX線で突然変異誘起した場合の花色変異を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 自然突然変異および放射線突然変異により黄色花になった系統のCmCCD4aの有無を調査すると、黄色花になった系統でも、CmCCD4aが認められることがある(図1)。
2. 突然変異系統のうちCmCCD4aを有している‘黄ドリームナース’(花色:黄色)、‘01DY05’(花色:淡黄色)に15GyのX線を照射することにより、15〜75%の株で白花色に戻る(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. CmCCD4a検出のためのPCRは、10ngの抽出DNAを鋳型として、CmCCD4a forwardとreverse primerを用いて、92℃ 1分、60℃ 1分、72℃ 2分を30サイクル行う。
2. 供試した突然変異品種・系統は、白色花から黄花色への高頻度で変異する機構の研究材料として活用できる。


[具体的データ]

図1 黄色品種・系統のPCRによる選抜
表1 黄色系変異系統1)における15GyのX線照射による花色変異株率
図2 ‘黄ドリームナース’と‘01DY05’の花色変異

[その他]
研究課題名:放射線を利用した本県特産花きの育種技術開発と優良品種・母本の育成
予算区分:国交(放射線)
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:山田栄成、岩ア勇次郎、寺田吉徳

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