酒造好適米「ひたち錦」の収穫適期判定法


[要約]
酒造好適米としての高品質生産が達成できる「ひたち錦」の収穫適期は、出穂後の積算日平均気温で約950〜1,050℃、帯緑籾率約20〜12%の時であり、この時期は出穂後41〜46日頃に相当する。

[キーワード]酒造好適米、収穫適期、帯緑籾率

[担当]茨城農総セ・農研・作物研究室
[代表連絡先]電話:029-239-7211
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  酒造好適米「ひたち錦」は実需者から高品質生産が求められており、千粒重25.5g以上、心白発現率80%以上、白米粗タンパク質含有率6.4%以下、玄米水分15.0%を目標値としている。これら品質目標を達成するためには適期収穫が重要である。そこで、出穂後の形態・内容成分の変化から収穫適期の判定基準を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 帯緑籾率は出穂後の積算日平均気温(以下、積算気温)約950℃まで急激に低下するが、以後の低下程度は緩やかになる(図1)。
2. 千粒重は調査開始時の積算気温750℃以上で目標値の25.5gを既に達成し、心白発現率は積算気温約900℃以上で安定して目標値の80%以上を達成する(図1)。
3. 未熟粒率は積算気温約950℃以降で10%以下となる(図1)。
4. 穂発芽性検定による穂発芽粒率は、積算気温が約1050℃を超えると急激に高くなることがある(図1)。
5. 白米粗タンパク質含有率は登熟の進展に伴い低下する傾向であり、積算気温約950℃以上で安定して目標値の6.4%以下となる(図1)。
6. 以上のことから、ひたち錦の収穫適期は出穂後の積算日平均気温で約950℃〜1,050℃であると考えられ、出穂後41〜46日頃に相当する。また、収穫適期における平均帯緑籾率は約20〜12%である。

[成果の活用面・留意点]
1. 帯緑籾率は極僅かな緑色も帯緑籾としているため、現地においては帯緑籾率を過小に判定し、早刈りとならないように注意する。
2. 穂発芽性検定の試験方法は、穂を1晩(約15時間)浸漬し、25℃・72時間インキュベート後の発芽粒数割合とした。


[具体的データ]

図1 「ひたち錦」の出穂後積算気温と形態・内容成分の変化

[その他]
研究課題名:機能性成分を活かした県内農産物の高付加価値化
予算区分:県単
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:小山田一郎、河野愛子、鈴木正明

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