小麦「きぬの波」の奨励(認定)品種採用


[要約]
短稈で、耐倒伏性に優れ、多収で、めん色、食感が優れる小麦「きぬの波」を奨励(認定)品種として採用する。

[キーワード]小麦、奨励品種、加工適性、きぬの波、耐倒伏性

[担当]埼玉農総研・水田農業研究所・米・麦担当
[代表連絡先]電話:048-521-9465
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  埼玉県における小麦栽培面積は、平成18年産で約6,600haであり、その約90%を「農林61号」が占めている。「農林61号」は、製粉適性、品質から一定の評価を受けているが、需給は均衡しており、今後の需要増は大きく見込めないことや、倒伏しやすいことから、より加工適性が高く、栽培しやすい品種の導入が必要である。
  流通面からの強い要望もあり、めん色、食感が優れ、短稈で耐倒伏性に優れ、多収の小麦「きぬの波」(平成9年、群馬県で育成)を認定品種として採用することにより、県産小麦の評価向上と安定生産を図るものである。

[成果の内容・特徴]
「きぬの波」は「農林61号」と比較して、次のような特徴がある。
1. 白ふであり、やや低アミロース品種である(表3)。
2. 出穂期は同程度〜3日早く、成熟期は同程度〜2日早い(表1)。
3. 稈長は短く、穂長は同程度〜やや長い(表1)。
4. 耐倒伏性はやや優る。うどんこ病は弱い(表1)。
5. リットル重は同程度。千粒重はやや軽い。外観品質は同程度である(表1)。
6. 多収である(表1)。
7. タンパク質含量はやや低い(表3)。
8. めん色、食感及び総合点が高く、製めん性が優れる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 優れた特性を持ち県内全域に適するが、実製粉規模での実需者評価を得るために19年産20haを作付けする。
2. うどんこ病に弱く、赤かび病は並であるので適期防除に努める。
3. タンパク質含量がやや低いため、追肥等により適正なタンパク質含量の確保を行う必要があるが、めん色にも留意する。


[具体的データ]

表1 奨励品種決定基本調査
表2 奨励品種決定現地調査
表3 製粉・製麺適性品質評価

[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:1998〜2003年度
研究担当者:箕田豊尚、斉藤孝一郎、新井登、武井由美子、山本和雄、上野敏昭、戸倉一泰、新井守、渡邉耕造

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