小麦「ハナマンテン」の奨励(認定)品種採用


[要約]
早生で、多収の硬質小麦「ハナマンテン」を奨励(認定)品種として採用する。

[キーワード]コムギ、奨励品種、硬質、製パン性、早生

[担当]埼玉農総研・水田農業研究所・米・麦担当
[代表連絡先]電話:048-521-9465
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  埼玉県では、パン用硬質小麦「ハルイブキ」を認定品種として約10ha栽培している。「ハルイブキ」は製パン性は優れているが、熟期が遅すぎることと、粒の外観品質が劣ることから、代替品種が望まれている。また、実需者から、「ハナマンテン」(平成17年、長野県育成)は超強力粉で、パンをはじめ、多様な加工利用が考えられるとして、強い導入要望を受けている。
  このため、「ハナマンテン」を認定品種として採用し、実需者評価を得るとともに、硬質小麦の生産振興を図る。

[成果の内容・特徴]

「ハナマンテン」は「農林61号」と比較して、次のような特徴がある(表1)。

1. 出穂期は5〜6日早く、成熟期は3〜5日早い早生種である。
2. 稈長は短く、穂長は長く、穂数は多い。
3. 耐倒伏性は同程度〜やや優る。
4. 赤かび病に弱い。
5. リットル重は同程度。千粒重は同程度〜やや軽い。粒の外観品質は劣る。原麦粗タンパク質含量はやや高い。
6. 多収である。
「ハルイブキ」と比較して、次のような特徴がある。
7. 出穂期、成熟期は5〜6日早い(表2)。
8. 稈長は同程度〜短く、穂長は長く、穂数は多い(表2)。
9. 耐倒伏性は劣る(表2)。
10. 千粒重は軽い。粒の外観品質は同程度〜やや優る(表2)。
11. 収量性は同程度〜多収である(表2)。
12. 製粉歩留はやや低く、粉の色調は同程度である(表3)。
13. 吸水率はやや低く、バロリメーターバリュウは大きい(表4)。
14. SDS不溶性グルテニンが多く、グルテンが強靭である(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 実製粉規模での実需者評価を得るために、畑作地域に作付する。20年産を目途に畑作地帯の「ハルイブキ」に替えて普及を図る。普及見込面積は約10ha。
2. 赤かび病に弱いので、適期防除を徹底すること。
3. 畑作のため、なまぐさ黒穂病や立枯病の発生に注意し、発生が認められたら休耕する。
4. 商品化には、特許第3109519号(超強力小麦粉含有改質小麦粉とそれを用いた小麦粉食品)の許諾申請が必要な場合がある。


[具体的データ]

表1 奨励品種決定基本調査
表2 奨励品種決定現地調査
表3 品質成分分析
表4 小麦粉生地の分析結果

[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:箕田豊尚、斉藤孝一郎、新井登、武井由美子、上野敏昭、新井守

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