帰化アサガオ類を対象とした効率的なダイズ畦間除草剤散布技術


[要約]
乗用管理機を利用した畦間除草剤散布のほ場作業量は34a/hである。この除草方法により帰化アサガオ類を有効に防除して雑草害を減少させることができる。処理時期は、ダイズ3葉期以前の処理では効果が低いが、6葉期以降の処理では効果が高い。

[キーワード]帰化アサガオ類、グルホシネート液剤、ビアラホス液剤、畦間除草、ダイズ

[担当]愛知農総試・作物研究部
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  愛知県では西三河地域を中心にダイズほ場に帰化アサガオ類(以下アサガオ類)の発生が問題となっている。しかし、有効な防除法がないため年々発生が拡大し、ダイズの作付けを放棄せざるを得ないほ場も出始めている(関東東海北陸研究成果情報2004年)。このため、一部の農家では、背負式噴霧器による畦間除草を実施しているが、作業能率が低く大規模経営農家にとっては実用的でない。そこで、乗用管理機での畦間除草剤散布の作業能率と作業時期について検証し、アサガオ類の効率的な防除法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. M社製の乗用管理機アタッチメント「ハイクリブームアタッチ大豆畦間3連ノズル」による畦間散布は、作業速度1.0m/s、ほ場作業量34a/hで、実用的な作業能力がある(図1)。
2. グルホシネート液剤、ビアラホス液剤のいずれもアサガオ類に対して十分な除草効果がある(図2)。
3. ダイズ3葉期では、後発の発生が多いこと、ダイズによる被覆が少ないことにより残草が多くなる(表1)。
4. ダイズ6葉期以降の処理で効果が高い(表1)。
5. アサガオ類の防除によりダイズの総莢数・収量は改善し、つるの絡みつきによる倒伏は軽減する(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 試験ほ場で発生が確認されたアサガオは、マルバアメリカアサガオ(Ipomoea.hederacea Jacq.var.integriuscula A.Gray)、ホシアサガオ(Ipomoea triloba L)、マメアサガオ(Ipomoea Lacunosa L.)、マルバルコウ(Ipomoea coccinea L.)である。
2. ダイズ6葉期以降の処理で効果が高いが、降雨後は低くなる傾向がみられ、気象条件による影響が考えられる(表1図3)。
3. アサガオ類がダイズに絡みついた状態では、本散布技術による十分な防除効果は期待できない。
4. 本情報はアサガオ類に関してのみの知見であり、他の雑草については調査していない。
5. 作物に薬剤がかからないよう、噴口の高さ、向き、吐出圧等についての詳細な検討が必要である。


[具体的データ]

図1 畦間除草剤散布機の概要 図2 ビアラホス、グルホシネート液剤処理14日後の残草量
表1 畦間除草の処理条件と処理効果
図3 処理前後の降水量と日照時間

[その他]
研究課題名:大豆・小麦の高品質化技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:平岩確、小出俊則、谷俊男、林元樹、野村有美、井上勝弘、杉浦和彦

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