チンゲンサイ、キャベツ根内から初めて見出された窒素固定細菌


[要約]
チンゲンサイ及びキャベツの根内から見出された5菌株に窒素固定能が認められた。16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(500 bp)の相同性よりこれらの菌株の一部は、Bacillus属、Pseudomonas 属、Rhodopseudomonas 属と類推された。

[キーワード]窒素固定、チンゲンサイ、キャベツ、根内細菌

[担当]静岡農試・土壌肥料部
[代表連絡先]電話:0538-36-1556
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  静岡県では、農業に有用な菌株を収集して、それらに放射線を照射し、その変異による菌株の育種を試みており、その基となる菌を収集している。そこで、チンゲンサイ、キャベツの根圏細菌から、窒素固定能を持つ有用菌株を選抜する。

[成果の内容・特徴]
1. 根圏細菌約9千菌株から、チンゲンサイ主根伸長を促進するもしくは主根長を抑制し根毛が増加する、という特長で一次選抜した作物生育促進菌230菌株を実験に供試し、アセチレン還元活性測定法による窒素固定能を測定したところ、5菌株(調査菌株中の出現割合2.2%)に活性が認められた(表1)。
2. 窒素固定能のある菌株は、2菌株がチンゲンサイ根内由来、3菌株がキャベツ根内由来である。データベースで調査したところ、チンゲンサイ、キャベツの作物根から、窒素固定能を持つ菌株が分離されたのは、初めてである(表2)。
3. 16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(500 bp)の相同性より、N-B101はBacillus属と類推され、芽胞形成するグラム染色陽性の桿菌で好気性かつカタラーゼ陽性であることが確認された。同様に、N-C69は、Pseudomonas 属、N-C70は、Rhodopseudomonas 属と類推された(表3写真1)。

[成果の活用面・留意点]
1. N-A75、N-B1の2菌株は、菌株収集時にすでに純化作業は繰り返し行っていたが、16SrRNA遺伝子の分析を行うに当たり、再度純度確認を実施したところ二つの細菌の混合株であることが分かり、それぞれ2菌株が再分離された。再分離された菌株の窒素固定能については、現在調査中である。
2. 調査したデータベースは、AGRIS、JASISである。
3. 作物の生育に対する効果は、今後調査する予定である。


[具体的データ]

表1 窒素固定細菌の少窒素培地での生育とアセチレン還元活性
表2 アセチレン還元活性の高い菌の由来
表3 N-B101菌株の16SrRNA遺伝子の部分塩基配列の相同性といくつかの生化学的・形態学的性質
写真1 N-B101のグラム染色写真

[その他]
研究課題名:放射線を利用した病害虫防除能力及び生育促進機能の高い微生物の選抜手法に関する研究
予算区分:国交(放射線)
研究期間:2006年度(2002〜2006年)
研究担当者:小杉徹、中村仁美、堀江優子、神谷径明、安達克樹(九州沖縄農研)

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