ミカンハダニの天敵の発生実態に合わせた防除手段の選択 |
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[要約] |
カンキツのミカンハダニを捕食する土着天敵の種構成は地域ごとに異なり、捕食性昆虫類(キアシクロヒメテントウ、ケシハネカクシ類)が主体の産地とカブリダニ類が主体の産地がある。これらの天敵の保護活用には、発生実態に合わせて防除手段を選択する必要がある。 |
[キーワード]ミカンハダニ、IPM、生物的防除、土着天敵、種構成、殺虫剤 |
[担当]静岡柑橘試・病害虫研究スタッフ
[代表連絡先]電話:0543-34-4854
[区分]関東東海北陸農業・病害虫(虫害)
[分類]技術・普及 |
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[背景・ねらい] |
カンキツのミカンハダニには多種の有力な天敵が知られている。しかし、これらの天敵は地域によって種構成が異なる上に、他害虫の防除を目的とした殺虫剤散布等によって影響を受けるため、活用が進んでいない。そこで、地域ごとに天敵の発生実態を明らかにした上で、主要種に対して影響の小さい防除法を明らかにした。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
静岡県の慣行防除のカンキツ園では、夏季にミカンハダニが増加すると、天敵類の発生も増加して、その後のミカンハダニ密度は低下する(図1)。 |
2. |
カンキツ園に発生する天敵類の種構成には地域差があり、東部ではキアシクロヒメテントウやケシハネカクシ等の捕食性昆虫の構成比が高く、中部や西部ではカブリダニ類の構成比が高い(図2)。カブリダニはほとんどがミヤコカブリダニである。 |
3. |
キアシクロヒメテントウやケシハネカクシ類に対して影響が小さい殺虫剤はクロルフェナピルである(表1)。 |
4. |
ミヤコカブリダニに対するシペルメトリン、アセフェート、イミダクロプリド、ルフェヌロン、クロルフェナピルの影響は小さい(表1)。 |
5. |
キアシクロヒメテントウやミヤコカブリダニに対して光反射シートマルチは影響が小さい(表1)。 |
6. |
以上の結果から、地域ごとに主体となっている天敵に合わせて、夏季に影響の小さい殺虫剤や光反射シートマルチを組み合わせることにより、この時期の殺ダニ剤の使用を削減できる可能性がある。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
他害虫の多発により、天敵に影響のある薬剤の使用が不可欠の場合は、6月にマシン油乳剤を散布することにより、急激なミカンハダニの増加を防ぐことができる。 |
2. |
天敵の種構成が不明な産地では事前に、天敵の発生実態を明らかにする必要がある。 |
3. |
ミヤコカブリダニが主体の産地では、現行の防除体系を当面維持するとともに、新規薬剤の使用に当たっては、事前に影響の有無を確認する必要がある。 |
4. |
捕食性昆虫に対して影響の小さい薬剤を更に探索する必要がある。 |
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[具体的データ]
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[その他] |
研究課題名:カンキツ園における環境活用型防除システムの開発
予算区分:国庫委託(生物機能プロ)
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:増井伸一、片山晴喜、土屋雅利
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