秋ソバのハスモンヨトウ防除のための黄色高圧ナトリウムランプ利用法


[要約]
黄色高圧ナトリウムランプによる夜間照明により、秋ソバに発生するハスモンヨトウ個体数を抑制することができる。

[キーワード]ソバ、ハスモンヨトウ、黄色灯、黄色高圧ナトリウムランプ、害虫防除

[担当]埼玉農総研・水田農業研究所・生産環境担当
[代表連絡先]電話:048-521-5041
[区分]関東東海北陸農業、関東東海・病害虫(虫害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  近年、秋ソバの生産が増加している中、ハスモンヨトウによる被害が顕著であり、その対策が求められている。初期生育の期間が9月の長雨と一致するため薬剤防除の困難な場合が生じる。また、農薬によらない防除法も求められている。
  そこで、埼玉県平坦部で栽培される秋ソバを対象に、黄色灯による幼虫密度抑制効果を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 黄色高圧ナトリウムランプの夜間照明は、秋ソバで発生するハスモンヨトウ幼虫の密度を抑制する(図1表1
2. 幼虫密度抑制に有効な照度は、約2ルクス以上である(図1)。
3. ハスモンヨトウと同時に発生するヨトウガとシロスジアオヨトウに対しては、夜間照明による密度抑制は認められない(表1)。
4. 照明期間が播種日から収穫日までの場合、照度が高いほど開花遅延、結実遅延が生じて子実収量が低下する(図2)。
5. 照明期間を9月下旬までとすることで、照明による減収を回避できる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 秋ソバにおける、農薬を用いないハスモンヨトウ防除法として期待される。
2. 黄色灯の照射を行う期間や照度等についてはさらなる検討が必要である。
3. 反射型黄色高圧ナトリウムランプ270W(商品名:エコイエロー、岩崎電気製)を地上5mの地点で光軸をやや下向き(θ=80°)に設置した場合、約10aを2ルクス以上に照明可能である。
4. 仮にハスモンヨトウが照明を中止した直後に産卵した場合、収穫時の11月上旬の発育段階は平年並の気温では中齢であり、食害の被害は少ない。


[具体的データ]

図1 ハスモンヨトウ幼虫数と照度の関係(2003年、栗橋町) 表1 ソバ畑での照度とヤガ類3種の個体数(幼虫個体数/0.6m×5m)
図2 播種日から収穫日まで照明した場合の照度と子実収量の関係(2003年、鷲宮町) 図3 播種1ヵ月後に消灯した場合の照度と子実収量の関係(2005年9月5日播種と2006年8月25日播種の事例) (騎西町)

[その他]
研究課題名:発生予察事業、平坦地ソバの農薬を使用しない病害虫防除技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003〜2006年度
研究担当者:江村薫、根岸進、新井利行、田澤信二(岩崎電気)

目次へ戻る