トマトすすかび病は葉かび病抵抗性に関係なく発病する


[要約]
トマトすすかび病は、葉かび病抵抗性品種および抵抗性を持たない品種のいずれも発病することから、トマト品種のすすかび病抵抗性は、葉かび病抵抗性と関係がない。

[キーワード]トマト、すすかび病、葉かび病、抵抗性品種

[担当]三重科技セ・農業研究部・循環機能開発研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6360
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  トマトすすかび病は、1951年に山田によって病原菌(Pseudocercospora fuligena)、発生生態、生理的諸性質、中部地方の被害について報告されているが、その後は発生が問題になる病害ではなかった。しかし、近年、トマトすすかび病の発生が全国的に問題になっており、注意を促すために病害虫防除所の特殊報が多く出されている。発生は、葉かび病抵抗性品種の栽培圃場で多く認められることから、品種の葉かび病抵抗性とすすかび病の発病の関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. トマトすすかび病と葉かび病の葉裏の病徴が酷似しているため、肉眼での判別は難しいが、光学顕微鏡で分生子を形態観察すれば容易に判別できる(図1)。
2. トマトすすかび病は、葉かび病抵抗性品種の「感激73」、「桃太郎コルト」、「桃太郎 ファイト」、「桃太郎ヨーク」、「ごほうび」、「麗容」および抵抗性を持たない品種「ハ ウス桃太郎」、「桃太郎8」、「桃太郎J」、「千果」、「ココ」のいずれもほぼ同程度発病 する。このことから、トマトすすかび病は、品種の葉かび病抵抗性の有無に関係なく発 病する(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 葉かび病抵抗性品種の栽培圃場で、葉かび病に酷似した症状が認められた場合、すすかび病発生のおそれがある。
2. トマトすすかび病の抵抗性品種を育成するための基礎資料となる。


[具体的データ]

図1 トマトすすかび病および葉かび病の葉裏の菌叢と病原菌
表1 供試したトマト品種の葉かび病抵抗性
図2 トマト品種の葉かび病抵抗性の有無とすすかび病の発病

[その他]
研究課題名:新規発生病害虫の生態解明と防除
予算区分:県単
研究期間:2005年度
研究担当者:黒田克利、鈴木啓史

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