トウガラシマイルドモットルウイルスワクチン接種ピーマンの圃場での干渉能と収量


[要約]
トウガラシマイルドモットルウイルスから開発した植物ウイルスワクチン(弱毒ウイルス)は強毒ウイルスの感染に対して高い干渉効果を示し、また、本ワクチンを接種したピーマンの一作を通した果実収量は無接種の健全ピーマンと比較して有意な差はない。

[キーワード]ピーマン、植物ウイルスワクチン、弱毒ウイルス、臭化メチル、モザイク病、生物防除

[担当]中央農研・生物的病害制御研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8481
[区分]共通基盤・病害虫(病害)、関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  ピーマンのトウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV)による土壌伝染性ウイルス病は、全国の主産地で経済的被害を発生させている。本ウイルス病の防除には、臭化メチル剤による土壌くん蒸が最も効果的であったが、本剤は不可欠用途を除き2005年に撤廃された。一方、本ウイルス病対策として抵抗性新品種の開発が精力的に進められたが、それら新品種の抵抗性を打破する新型ウイルス系統が各地の生産圃場で発生している。このような悪循環を回避するためには、現行栽培品種において十分な予防効果を発揮する植物ウイルスワクチン(弱毒ウイルス)の開発が必須である。そこで、栽培圃場で実用的な植物ウイルスワクチンを開発し、本ウイルス病の防除技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 中央農業総合研究センターで熱処理により選抜したNo. 16ワクチンを子葉期に接種したピーマン(品種:みおぎ(L3/ L+ )、日本園芸生産研究所)は、4月〜9月までの栽培期間を通して外観正常である(図1)。
2. No. 16ワクチン接種ピーマンを圃場に定植し、収穫初期から強毒ウイルスで汚染した摘果ハサミで整枝・摘果等の管理作業を行っても発病は認められない(表1)。
3. 約3aの圃場において、4月〜9月までの慣行栽培でNo. 16ワクチン接種ピーマンの果実収量を健全区並びに強毒ウイルス感染区のそれぞれと比較すると、健全区に対して有意な差は認められない。一方、強毒ウイルス感染ピーマンは、生育が抑制され収量も減少する(図2表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本ワクチンは、Capsicum属植物のL3 抵抗性打破ウイルス系統を素材として開発したため、L4 抵抗性遺伝子保有ピーマン品種では増殖できず干渉効果を示せない。
2. ピーマン品種により、ワクチン接種直後に生育が若干抑制されることがある。
3. キュウリモザイクウイルス等、他種ウイルスによるモザイク病には予防効果はない。


[具体的データ]

図1 栽培圃場におけるNo. 16ワクチン接種ピーマンと強毒ウイルス感染ピーマン
表1 摘果時にウイルス汚染ハサミを使用した際のワクチン接種ピーマン防除効果
図2 ワクチン接種ピーマンの月別収量調査(10a 換算) 表2 ワクチン接種ピーマンの総収量比較(10a換算)

[その他]
研究課題名:誘導抵抗性等を活用した生物的病害抑制技術の開発
課題ID:214-d
予算区分:生物機能
研究期間:2005〜2006年度
研究担当者:津田新哉、大木健広、大熊哲仁(鯉渕学園)、藤澤一郎(鯉渕学園)

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