DMI剤耐性イチゴうどんこ病菌の遺伝子診断法


[要約]
DMI剤耐性イチゴうどんこ病菌には、DMI剤標的酵素遺伝子(CYP51 )のコドン461に1塩基変異がある。そこで、これを検出するため設計したプライマーを用いてPCRすることで耐性菌を検出できる。

[キーワード]イチゴうどんこ病、DMI剤耐性菌、遺伝子診断法

[担当]栃木農試・環境技術部・病理昆虫研究室
[代表連絡先]電話:028-665-7149
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  イチゴでは、うどんこ病が最重要病害の一つとなっているが、卓効の防除薬剤であるDMI剤の効力低下が問題となっている。そこで、イチゴうどんこ病菌のDMI剤標的酵素遺伝子(CYP51 )を解析し、耐性菌に特異的な変異を見いだすとともに、その遺伝子診断法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 供試菌株のうち、DMI剤(トリフルミゾール)耐性イチゴうどんこ病菌TOC5、06TOK1、06TOK2、SGK13-1及びSGK13-2は、感受性菌98HOK-1との比較からCYP51 遺伝子に1塩基変異が存在する。この1塩基変異はコドン461部位にあたり、アミノ酸がG(グリシン)からS(セリン)に置換していると考えられる。
なお、DMI剤耐性イチゴうどんこ病菌には、CYP51 遺伝子に1塩基変異をもたず、CYP51 の上流に挿入配列が認められる菌株や挿入配列も認められない菌株がある(表1)。
2. CYP51 遺伝子の1塩基変異を検出するためのプライマーは、田淵らの方法(特開2004-248635)に準じてリバースプライマーの3’端に変異部位をもち、さらに2塩基隣りに人為的に塩基置換を導入することでミスアニーリングを防ぐように設計する(表2)。このプライマー1532Fと1532R-T(変異型検出用)又は1532R-C(野生型検出用)を用いて、PCRの温度を94℃×1min、65℃×1min、72℃×1minで40サイクルとすることによって、CYP51 のコドン461に1塩基変異を伴う耐性菌(変異型)を検出できる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本法で野生型と判定される菌株には、CYP51 に1塩基変異を有しない耐性菌が含まれる場合も考えられる。


[具体的データ]

表1 供試菌株のDMI剤(トリフルミゾール)に対する感受性とCYP51 遺伝子の変異
表2 供試プライマー
図1 PCR産物の電気泳動パターン

[その他]
研究課題名:イチゴうどんこ病菌におけるDMI剤耐性機構の解明と遺伝子診断技術の開発
予算区分:先端技術を活用した農林水産研究高度化事業
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:大関文恵、後藤知昭、中山喜一、生井  潔、福田  充

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