ポット試験におけるキュウリ緑斑モザイク病の土壌接種法


[要約]
キュウリ緑斑モザイク病は、乾燥罹病根を乾土に0.5%重混和し、断根したキュウリ苗を植え付けることにより、安定して発病させることができる。

[キーワード]キュウリ、キュウリ緑斑モザイク病、土壌伝染、接種法

[担当]愛知農総試・環境基盤研究部病害虫グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海病害虫(病害)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  キュウリ緑斑モザイク病は、他に防除法がないために不可欠用途として臭化メチルによる土壌消毒が行われている。代替防除技術の確立は急務であるが、本病病原ウイルス(KGMMV)は新たな防除技術の開発が進んでいない。新技術の開発には速やかに防除効果を評価できる小規模かつ安定的な試験が必要であるが、本病は土壌からの伝染率が非常に低いことがその開発の障害となっている。そのためのポットでできる土壌接種法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. キュウリ緑斑モザイク病は、乾燥罹病根を乾土当たり0.5%重混和すると、安定的に土壌伝染させることができる(表1)。
2. 供試苗は、土を落とし根の先端を約1cm切断して植え付けることにより、発病率が向上する(図1)。
3. 汁液接種株の根は接種12日以降KGMMV陽性葉と同等のLAMP反応を示し、ウイルスが検出できることから、罹病根は水耕栽培キュウリにKGMMVを汁液接種し、約2週間後に回収する方法により容易に得られる(図2)。
4. キュウリ緑斑モザイク病の土壌接種法は、水耕栽培(山崎処方)した5葉期のキュウリに汁液接種し、2週間後に罹病根を回収して通風乾燥した後、乾燥した培土に0.5%重混和し、断根した苗を植え付け、35日間調査する(図3)。
5. 低温期は発病率が低下する(図4)。
6. 植え付け35日以降は発病率はほとんど増加しない(図表省略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 土壌消毒剤や弱毒ウイルスの防除効果の評価、抵抗性品種などのスクリーニングに活用できる。


[具体的データ]

表1 罹病根の土壌への混和率が発病に与える影響 図1 苗断根処理が発病に与える影響 定植4月5日
図2 ウイルス汁液接種後のキュウリ根のウイルス反応(LAMP 法) 図3 ポットで行うキュウリ緑斑モザイク病土壌接種法の手順
図4 試験時期による発病率の違い

[その他]
研究課題名: 臭化メチル代替技術緊急確立事業
キュウリ緑斑モザイク病に対する臭化メチル代替防除試験
予算区分:食の安全・安心確保交付金
研究期間:2004~2006年度
研究担当者:間下なぎさ、平野哲司、深谷雅博

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