大豆ちりめんじわ粒の発生からみた刈取開始時期の子実水分指標


[要約]
大豆品種「エンレイ」のちりめんじわ粒の発生を軽減するには、コンバイン収穫による刈り取り開始時期は、子実平均水分22%の頃である。また、子実平均水分22%程度の大豆の貯留限界は4日である。

[キーワード]大豆、ちりめんじわ粒、刈り取り開始時期、刈取指標、貯留日数

[担当]富山農技セ・農業試験場・機械営農課
[代表連絡先]電話:076-429-5280
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作、作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  富山県では転作の主要作物として大豆を作付けしており、近年、品質の低下が著しい。その大きな要因はちりめんじわ粒の発生となっている。また、ちりめんじわ粒の発生については、地力の減耗、窒素吸収量の低下などが栽培要因としてあげられているが、一方、大豆コンバインによる収穫がやや遅れ気味であることが要因の1つと考えられる。
  そこで、成熟期前後の子実水分の変動とちりめんじわ粒の発生程度との関係を明らかにする。また、子実水分とコンバイン収穫による品質への影響を解明し、ちりめんじわ粒の発生を防止する最適なコンバイン収穫開始時期を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. ちりめんじわ粒の発生は子実平均水分35%(成熟10日前)頃から認められ、子実平均水分の低下に伴って、ちりめんじわ粒の割合は増加する。一方、子実水分25%以上の高水分粒の混入割合は子実水分が下がるに伴って減少する(図1)。
2. 大豆コンバインで収穫する場合、子実平均水分が高いほど茎水分が高く、汚粒や損傷粒の発生が多いが、子実平均水分22%で汚粒指数0.5以下、損傷粒発生率1.5%程度になる。(図2
3. ちりめんじわ粒の発生軽減からみたコンバインの刈り取り開始時期は、ちりめんじわ粒割合15%程度、高水分粒割合10%程度、汚粒指数0.5以下になる子実平均水分22%の頃である。
4. なお、22%の大豆を密閉状態で貯留した場合、変質や腐敗粒が発生しない貯留日数は4日である(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 軸流型の大豆コンバインで「エンレイ」を収穫する場合の開始時期の目安にする。
2. 高水分粒が混入しているので、機械乾燥は送風温度は「気温+5℃以内」、毎時乾減率は0.3%以下で実施する。


[具体的データ]

図1 大豆の子実水分としわ粒、高水分粒割合の変化(2005年、2006年)
図2 子実水分と茎水分、損傷粒、汚粒指数の関係(2005年、2006年)
図3 水分22.3%の貯留期間と変質の関係

[その他]
研究課題名:北陸地域に多発する大豆しわ粒の発生防止技術の開発
予算区分:高度化事業
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:寺西敏子、荒井清完、金田宏、細川吉裕、吉田稔、鍋島弘明

目次へ戻る