殺虫剤1回散布によるアカヒゲホソミドリカスミカメの防除法


[要約]
ジノテフラン粉・液剤の1回散布によりアカヒゲホソミドリカスミカメの防除ができる。散布適期は、出穂期から出穂期10日後頃までである。圃場間の出穂期の違いが10日以内の地域では、1回の共同防除で十分な効果がある。

[キーワード]アカヒゲホソミドリカスミカメ、殺虫剤、ジノテフラン、共同防除

[担当]新潟農総研・作物研究センター・栽培科
[代表連絡先]電話:0258-35-0836
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  アカヒゲホソミドリカスミカメの防除には、有機リン系や合成ピレスロイド系の粉・液剤を使用する場合、出穂期10日後とその10日後の2回の散布が必要である。薬剤散布の労力・コスト、環境負荷の低減のためには、散布回数を削減した防除技術を開発する必要がある。
  ネオニコチノイド系のジノテフランの粉剤、液剤は、従来の殺虫剤に比べ本種に対して高い防除効果がある。これらの殺虫剤を使用することで散布の2回から1回への削減を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. アカヒゲホソミドリカスミカメに対して、ジノテフラン粉剤、液剤は合成ピレスロイド系のシラフルオフェン剤に比べ高い防除効果があり、1回の散布で実用上十分である。散布適期は、イネの出穂期から出穂期10日後頃までである(表1)。
2. 防除対象の圃場の出穂期の違いが10日以内であれば、いずれのほ場も散布適期の範囲に入る時期に薬剤散布することで、出穂期が異なる圃場を同時に防除できる。新潟県における標準的な品種構成、出穂期の地域では、中生の「コシヒカリ」の出穂期から出穂期4日後までが散布適期である(図1)。
3. 「コシヒカリ」とこれより出穂期が4日程度早い早生品種が栽培されている地域の共同防除では、「コシヒカリ」の出穂期直前のジノテフラン剤の1回散布で、「コシヒカリ」と早生品種のいずれにも十分な防除効果が認められた(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. ジノテフラン粉剤、液剤はオオトゲシラホシカメムシに対しても防除効果があり、2種の混発条件にも適用できる。他の斑点米カメムシ類に対する防除効果は未検討である。


[具体的データ]

表1 アカヒゲホソミドリカスミカメに対するジノテフラン液剤の出穂期9日後散布の防除効果
表2 アカヒゲホソミドリカスミカメに対するジノテフラン粉剤の散布時期による防除効果の違い
図1 新潟県の主要3品種各々の薬剤散布適期と3品種を対象とした薬剤散布適期
表3 共同防除におけるジノテフラン液剤1回散布のアカヒゲホソミドリカスミカメに対する防除効果

[その他]
研究課題名:予察に基づくアカヒゲホソミドリカスミカメ防除体系の確立
予算区分:県単特別
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:石本万寿広、永瀬淳、横山泰裕、佐藤秀明

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