有機物施用と水管理による水稲の後期栄養の確保


[要約]
稲わら等の有機物を連年施用することで土壌の保水力が高まり、出穂期以降の土壌からの窒素供給量や水稲の窒素吸収量が多くなり、後期栄養の確保が図られる。また有機物を施用した水田でも、土壌を過度に乾燥させると窒素供給量は著しく減少する。

[キーワード]水稲、有機物施用、後期栄養

[担当]新潟農総研・基盤研究部(土壌保全)
[代表連絡先]電話:0258-35-0826
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  近年、除青未熟粒や心白粒によるコシヒカリの格落ちが目立ち、1等級比率が安定していない。その要因としては、登熟期間の高温や日照不足などの気象要因、籾数過剰等が挙げられているが、水稲生育後期の栄養不足も指摘されている。そこで、有機物の連年施用による土づくりや出穂期以降の水管理によって後期栄養を確保する。

[成果の内容・特徴]
1. 有機物を連年施用すると土壌の保水力が高まり、化学肥料のみの施用に比べて収穫期の易効性有効水(水稲が容易に吸収できる水)の量が多くなる(図1)。
2. 出穂期後の水田土壌を乾燥させると土壌からの窒素供給量は少なくなるが、有機物を施用することによってその減少量は小さくなる(図2;A→B)。しかし、土壌を過度に乾燥させると、有機物施用の有無に関わらず窒素供給量は著しく減少する(図2;C)。
3. 化学肥料のみの施用では出穂後3週間頃から水稲の窒素吸収量が減少する。しかし、有機物の連年施用による土づくりを行うと、窒素吸収量は収穫時まで維持される(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本試験を行った基準点ほ場1は、中粗粒灰色低地土において16年間稲わらの秋鋤き込みを行ったほ場である。また基準点ほ場2は、細粒グライ土において22年間春の耕起前にわら堆肥を1t/10a施用したほ場である。
2. 両ほ場とも化学肥料単用区は稲わらの鋤き込みを行っていない。
3. 下位葉の枯れ上がりや倒伏防止のためだけでなく、後期栄養を確保するためにも、落水期は出穂後25日以降とする。


[具体的データ]

図1 水稲収穫期の易効性有効水(H2〜16、基準点ほ場1) 図2 pFと窒素供給量(平成17年8月採土:基準点ほ場1)
図3 生育後期の期間窒素吸収量(S60〜H17、基準点ほ場2)

[その他]
研究課題名:有機物資源連用試験
予算区分:県単事業
研究期間:1984年度〜
研究担当者:大峽広智、門倉綾子、小林  裕

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