カドミウム吸収抑制管理水田における水稲根活性と地力発現


[要約]
水稲のカドミウム吸収抑制のための常時湛水管理では、水稲の根活性の低下は認められず、収量・品質についても同等に確保できる。またようりん施用による過剰な土壌窒素の発現は連用3年目まで認められるので基肥窒素の減肥が必要である。

[キーワード]水稲、カドミウム、吸収抑制、湛水管理、ようりん、根活性

[担当]新潟農総研・作物研究センター・栽培科
[代表連絡先]電話:0258-35-0836
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  水稲のカドミウム吸収抑制栽培技術として、常時湛水栽培と土壌のpHを目標値まで上げるためのようりん等のアルカリ資材の施用が行われている。この対策実施ほ場において、常時湛水管理では根腐れ等による水稲根活性の低下、アルカリ資材の施用では過剰な土壌窒素発現が懸念されている。そこでこれらの抑制技術が水稲根活性や土壌窒素発現に与える影響について情報提供し、高品質安定生産を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 水稲のカドミウム吸収抑制のための出穂期常時湛水管理法(出穂3週前〜出穂後25日まで湛水管理)は慣行の間断かん水管理と比較して、乾物重及び下葉の枯れ上がりについて違いが見られず、登熟期における水稲根の活性は維持される。また、収量・品質についても同等に確保できる(図1)。
2. ようりん施用(pH6.5を目標とし、初年目250〜500kg/10a、2年目以降100〜250kg/10a)による土壌窒素の過剰発現は、連用年数を重ねることにより減少し、4年目以降は差が認められなくなる(図2)。
3. 「コシヒカリ」栽培において、ようりん連用2年目までは総籾数が多くなり(表1)、整粒歩合が低下する傾向にあるが、減肥栽培により総籾数の増加が抑制され、整粒歩合が高まる。また、3年目の整粒歩合は慣行区と同程度となる(図3)。このことと上記の過剰な窒素発現を考慮して3年程度は減肥を行う。

[成果の活用面・留意点]
1. ほ場整備済みの水田でのデータであり、有機質が多い泥炭土壌などは該当しない。
2. ようりんの施用については、土壌のpHを確認しながら目標値(pH6.5)まで投入する。
3. 基肥については30〜50%の減肥を行う。また穂肥は生育診断に基づき施用する。
4. 水稲根の活性は、ルビジウムトレーサー法により、出穂期に生育の中庸と思われる株の周囲にプラスチック枠(30×20cm、高さ30cm)を20cmの深さまで差し込み、枠中の田面水に塩化ルビジウム1gを溶かし散布攪拌し、約20日後にサンプリングし、ルビジウムの回収率より求めた。


[具体的データ]

図1 登熟期におけるルビジウムの吸収比率と生育・収量・品質
図2 ようりん施用回数と室内でのようりん添加試験による窒素発現量注1)の増加
表1 窒素減肥が籾数に及ぼす影響 図3 ようりん施用ほ場(コシヒカリ)減肥栽培の収量(慣行施肥栽培に対する収量比率)および品質

[その他]
研究課題名:主要農作物のカドミウム吸収抑制技術の開発
予算区分:県単特別
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:南雲芳文、東聡志、鈴木信、金高正典、土田徹、市川岳史、高橋能彦

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