2年生アスパラガスの立茎長期収穫栽培における省力施肥技術


[要約]
アスパラガスの立茎長期収穫栽培において、2年生株の場合、リニア型140日タイプの肥効調節型肥料を基肥として施用することにより、追肥を省略できる。また、慣行窒素施用量60kg/10aに対し、20%の施用窒素を削減しても、慣行施肥法と同等の収量を上げることが可能である。

[キーワード]アスパラガス、立茎長期収穫栽培、肥効調節型肥料、減肥

[担当]新潟農総研・園芸研究センター・環境科
[代表連絡先]電話:0254-27-5555
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  アスパラガスは、野菜類の中でも施肥量および堆肥施用量が多い品目の一つであり、施肥量削減技術および省力的な施肥法の開発に対する要望が強い。肥料の無駄がない効率的な施肥を行うためには、アスパラガスの生育時期別の養分吸収量を把握し、それに見合った肥料を施用する必要がある。そこで、立茎長期収穫栽培における2年生アスパラガスの養分吸収特性を調査し、それに基づく合理的な施肥法を検討した。

[成果の内容・特徴]
1. 2年生アスパラガスの生育期毎の窒素吸収パターンは、5月上旬からほぼ直線的に増加し、9月以降減少する。茎葉刈り取り時期までの総窒素吸収量は10アールあたり約35kgである(図1)。
2. リニア型の肥効調節型肥料140日タイプを窒素成分で10アールあたり40kg施用したとき、新潟県の平場地域における地温から予測した窒素溶出量は、2年生アスパラガスの窒素吸収パターンとよく一致する(図1)。
3. 萌芽前(3月下旬)に芽だし肥として速効性化学肥料を窒素成分で10アールあたり5kg施用し、リニア型肥効調節型肥料を基肥として4月下旬に窒素成分で10アールあたり43kg施用すると、収穫量は慣行区と近い推移を示し、収穫期後半まで安定した肥効を維持できる(図2)。
4. 慣行施肥法(窒素成分60kg/10a)に対して、総窒素施用量を20%少ない10アールあたり48kgで、同等のA品収量を上げることが可能であり(図3)、窒素の吸収量も同等となる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 試験に用いた被覆燐硝安加里140日タイプ(窒素:リン酸:カリ=14:12:14)の肥料成分の溶出は温度に依存するため、本技術の適用地域は北陸地域の平場地帯とする。
2. 肥効調節型肥料を使用する場合、期待どおりの肥効を発揮させるためには十分な水分を必要とするため、施肥後(畦上または全面)に土壌と軽く混和し、かん水を適宜行うことによって適湿を保つ。
3. 新潟園研圃場の褐色低地土(SL)を充填したポット(50×50cm、80L容)栽培の2年生アスパラガスを供試した試験の結果である。
4. 生育年数、地力の大小および堆肥の施用量等により、適宜施肥窒素量を加減する。


[具体的データ]

図1 2年生アスパラガスの窒素吸収量と肥効調節型肥料の溶出予測
図2 施肥方法の違いによる旬別収量の推移の比較(2005) 
図3 施肥法の違いによるアスパラガスの収量性の比較(2005)
図4 施肥法の違いによるアスパラガスの窒素収奪量の比較(2005)

[その他]
研究課題名:園芸作物の合理的施肥法の開発
予算区分:県単経常
研究期間:2000〜2006年度
研究担当者:竹田宏行

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