食品残さ堆肥に適用可能な窒素無機化量の迅速・高精度測定法


[要約]
食品残さ堆肥の窒素無機化量(30℃4週間畑培養)は、有機態窒素・無機態窒素・リン酸緩衝液抽出物の吸光度の三者で精度高く推定でき、培養法に比べ測定期間が短縮される。

[キーワード]食品残さ堆肥、窒素無機化量、リン酸緩衝液抽出法、吸光度

[担当]石川農研・資源加工研究部・生物資源グループ
[代表連絡先]電話:076-257-6911
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  食品残さ堆肥の窒素無機化量の評価には一般的に培養法(30℃4週間畑培養)が用いられているが、迅速性の面で難がある。また、家畜ふん堆肥で適用される有機態窒素・無機態窒素による方法では、培養法に比べ精度が低い。そこで、食品残さ堆肥に適用可能な窒素無機化量の測定法を改良する。

[成果の内容・特徴]
1. 食品残さ堆肥の窒素無機化量の推定精度は、1)有機態窒素、2)無機態窒素に、3)リン酸緩衝液抽出物の吸光度(波長355nm)を加えた三者による重回帰式で向上する(図1)。リン酸緩衝液抽出物の吸光度は、堆肥の腐熟進行に伴う有機態窒素の無機化率低下を説明する変数である(図2)。
2. 分析スキームは次のとおりである(図3)。1)堆肥を乾燥・粉砕する。2)全窒素、無機態窒素を測定し、全窒素から無機態窒素を差引いた値を有機態窒素とする。3)抽出物の吸光度を測定する。4)それぞれの測定値を回帰式に代入し、窒素無機化量を推定する。

[成果の活用面・留意点]
1. 供試堆肥は、現物重量比で給食残さ:魚加工残さ:おから:籾殼=1:1:1:1.5の割合で混合し、さらに尿素を重量比0〜7.5%添加し腐熟したもので、全窒素は1.8〜8.2%、全炭素は36〜42%、腐熟期間は0日から3か月である。
2. 抽出液調製時の条件は次のとおりである。
リン酸緩衝液組成(KH2PO4-Na2HPO4 濃度67mM pH7.0)
試料:緩衝液=1:50(w:v) 室温で1時間振とう抽出後、6倍希釈 
3. 本法では1検体当たり1〜2日で測定できる。


[具体的データ]

図1 培養法による実測値と重回帰式による推定値との関係 図2 有機態窒素の無機化率とリン酸緩衝液抽出物の吸光度の関係
図3 分析スキーム

[その他]
研究課題名:食品残さを利用した新しい作物別有機肥料の開発
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:梅本英之、畑中博英、森川千春、宮川修、北田敬宇

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