ニホンウズラの異常卵を減らすには60cm2/羽以上の飼育面積が必要


[要約]
異なる飼育密度(80cm2、60cm2及び40cm2/羽)でニホンウズラを36週から60週齢まで飼育すると、40cm2区に比べ80cm2区や60cm2区は生存率や産卵率(ヘンハウス)が高く、更に47から60週齢で茶玉卵を含んだ異常卵の発生も低い傾向がみられる。

[キーワード]ニホンウズラ、飼育密度、生存率、産卵率、茶玉卵、異常卵

[担当]愛知農総試・畜産研究部・家きんグループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  生産現場では産卵後期から茶玉卵等の異常卵が増加するといわれている。茶玉卵は卵殻にウズラ特有の白黒の模様が無く、かつ卵殻も薄いため商品価値がない。しかし、茶玉卵等の異常卵の発生の原因・誘因は不明な点が多く、その原因・誘因の一つとして飼育密度と考え、異なる飼育密度がウズラの産卵成績に及ぼす影響を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. ニホンウズラを36週から60週齢まで1羽あたり80cm2区、60cm2区及び40cm2区の異なる飼育面積で飼育し、3区分とも30羽を1群として3反復する。
2. 正常卵は卵殻が厚く白黒の模様が明瞭であるが、異常卵としては白卵(卵殻が薄く白色の卵)や茶玉卵(卵殻が薄く茶色から緑色の卵)のほか(写真1)、卵殻形成のない軟卵もみられる。
3. 生存率では、60週齢時点で80cm2区は96.7%、60cm2区は93.3%であるが、40cm2区は83.3%と有意に低い(図1)。
4. 産卵率(ヘンハウス)の推移では、60週齢時点で80cm2区は79.0%、60cm2区は71.7%であるが、40cm2区は55.0%と非常に悪い(図2)。
5. 異常卵の発生率の推移をみると、38から42週齢で3区分に大きな差はみられない。一方、47から60週齢では40cm2区の異常卵の発生率は高い傾向で、茶玉卵の割合も高い(表1)。
6. 卵殻強度では、3区分の正常卵とも38週齢で約1.6kg/cm2から緩やかに減少し、60週齢時点で約1.4kg/cm2であるが、3区分の茶玉卵とも38週から60週齢まで0.9kg/cm2を下回る。

[成果の活用面・留意点]
1. 飼育密度が高いと生存率が低く、茶玉卵等の異常卵の発生率も高いことから、1羽あたり60cm2から80cm2は必要である。
2. 異常卵は正常卵に比べ卵殻強度が低くヒビがはいりやすいことから、食卵にする場合、取り扱いに注意を要する。


[具体的データ]

写真1 正常卵と異常卵
図1 生存率の推移 図2 産卵率の推移(ヘンハウス)
表1 異常卵の発生率の推移

[その他]
研究課題名:ウズラの飼養管理技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:伊藤裕和、近藤 一、野田賢治

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