加工・業務用ホウレンソウ省力機械化体系の経営的評価


[要約]
加工・業務用ホウレンソウ収穫機は、作業能率が高く大規模栽培での生産コストが低減できる。また、この収穫機を活用した経営モデルを提示した。

[キーワード]ホウレンソウ、加工・業務用野菜、機械化体系、経営的評価、収穫機

[担当]埼玉農総研・食品開発・流通担当、露地野菜担当
[代表連絡先]電話:048-536-6034
[区分]関東東海北陸農業・経営
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ホウレンソウの収穫・調製にかかる時間は全作業時間の90%を占めることから、作業の省力化が求められている。野菜茶業研究所と(株)ニシザワが開発したホウレンソウ収穫機(NSH-1400ProP3)は、作業能率が高く大規模経営での大幅な省力化が期待できる。この収穫機の導入効果を明らかにして、その導入の促進に資する。

[成果の内容・特徴]
1. ホウレンソウ収穫機は、収穫作業の能率が手作業の約10倍で、4人の組作業では延べ17時間/10aで収穫作業が実施できる。この収穫機を利用した省力機械化作業体系では、総作業時間28時間/10aとなり慣行の15.7%に短縮される(表1)。
2. 加工・業務用ホウレンソウ経営モデルは、雇用労力によりホウレンソウとコマツナを栽培する借地型経営で、加工施設を持つ法人経営体を前提に試算計画法と損益分岐点分析を併用して作成した(表2)。生産類型はホウレンソウ9か月作付及びホウレンソウ9か月+コマツナ3か月作付の2類型とした(表3)。作付面積は、加工施設の日処理能力4,000kg及び栽培期間の屋外作業可能日数から設定した。雇用労賃は800円/時、借入地代は10,000円/年とした。
3. ホウレンソウ単一類型では、年間32.3haの作付けが可能である。このときの限界利益は省力機械化体系が48.1百万円、慣行体系が8.4百万円である(表3)。ホウレンソウとコマツナの複合類型では、年間46.1haの作付けが可能である。このときの限界利益は、省力機械化体系が62.6百万円、慣行体系が9.1百万円である(表3)。
4. ホウレンソウ単一類型の収量別損益分岐点単価は、収量2.5t/10aの場合省力機械化体系が42.1円/kg、慣行体系は90.7円/kgであった(図1)。冷凍用ホウレンソウの価格は60円/kgという取引事例(農畜産業振興機構調査)がある。省力機械化体系は、この単価でも利益確保が可能である。
5. 省力機械化体系の費用均衡面積(機械化体系の費用が慣行と同額になる面積:固定費の増加額÷変動費の減少額)は38aである(データ略)。収穫機の導入は、大規模なホウレンソウ生産のコスト低減が図られ安価な業務用食材向供給が可能となる。

[成果の活用面・留意点]
1. 夏季の露地ホウレンソウ栽培が困難な地域における、加工・業務用ホウレンソウ省力機械化体系の普及資料として活用できる。
2. 冷凍加工・業務用出荷を前提としたモデルであり、家計消費用出荷では数値の検証が必要である。
3. 経営モデルは、雇用労賃の支払による労働力確保及び地代の支払による農地借入で規模拡大が可能な、大規模法人経営を前提としている。

[具体的データ]
表1 ホウレンソウ清算体系と10a当たり作業時間
表2 経営モデルの前提条件
表3 収穫機の導入が経営モデルに及ぼす効果
ホウレンソウ単一類型の損益分岐点単価
[その他]
研究課題名:加工・業務用ホウレンソウ低コスト生産体系の確立
予算区分:研究成果実用化促進事業
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:本間利明、増山富美子、岩崎剛、太田友代(埼玉農総研)

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