農作業ナレッジの種類と摘出方法


[要約]
代かきや大豆収穫などの農作業ナレッジは、定型的知識、感覚運動系技能、知的管理系技能に分類できる。このうち圃場内機械作業のナレッジは、作業時の視野映像やナレッジ表を提示し農業者の発話を促すことにより摘出する。

[キーワード]ナレッジ、技能、継承、農作業

[担当]中央農研・農業経営研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838- 8481
[区分]共通基盤・経営、共通基盤・総合研究(輪作)、関東東海北陸農業・経営
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
高齢化により熟練した農業者のリタイアが急速に進んでおり、農作業に関わる知識・技能や経営ノウハウなどのナレッジを次世代に受け渡していくことが重要な課題となっている。そのためには、農業者が頭の中に持つナレッジを摘出し、形式知化することが必要となる。しかし、それらナレッジには一般的な聞き取りや観察では容易に把握できないものも多い。そこで、知識・技能継承の観点から農作業におけるナレッジのタイプ分けを行った上で、圃場内機械作業を対象に、農業者の持つ作業ナレッジの摘出方法を策定する。

[成果の内容・特徴]
1. 農作業ナレッジ(農作業について知っていること)は、定型的知識(一般的知識と経営固有知識)、感覚運動系技能(感覚系技能と運動系技能)、知的管理系技能に分類できる。また、それらナレッジの種類によって、その摘出方法は異なる(図1)。
2. 農業者が持つ作業ナレッジを収集するために、視野映像を利用する方法を策定した(図2)。作業ナレッジは、まずCCDカメラで農業者の視野映像を記録した上で、それを提示して作業のやり方・考え方等を発話してもらい、次に、収集した発話記録を整理したナレッジ表を示しながら再度聞き取りを行うという手順で収集する。なお、視野映像がない場合は、映像記録の代わりに他の経営の事例を示すことによって農業者の発話を促す。
3. ナレッジ表は、(1)収集した発話記録を意味的なひとまとまりごとに区切って一つのナレッジとし、(2)各ナレッジを作業の構造・順序を踏まえてナレッジ項目に集約するとともに、(3)各ナレッジがどの種類に該当するかを決定して、(1)〜(3)を一覧表に整理することにより作成する(表1)。
4. 大規模な水田作経営の熟練者とその後継者(非熟練者)から摘出したナレッジを比較すると、熟練者の方がナレッジ数が多く、非熟練者からは作業の段取りに関わる知的管理系技能は摘出されないなどの違いがある。また、大豆収穫では代かきに比べ運動系技能を中心とした感覚運動系技能の占める割合が高くなっていおり、状況に応じた作業機の緻密な操作に関わるナレッジが中心的な位置を占めている(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 北関東の平坦水田地帯の大規模水田作経営を事例としている。
2. ここでの農作業ナレッジの摘出方法は、主に圃場内での機械作業を対象としたものである。

[具体的データ]
図1 継承の観点から見た農作業ナレッジの種類と摘出・受け渡し方法 図2 圃場内機械作業ナレッジの摘出方法
表1 発話記録に基づくナレッジ表の例(代かき)
表2 農作業ナレッジの摘出事例
[その他]
研究課題名:関東・東海・北陸地域における個別経営体の総合的経営管理手法及び多様な主体間連携による地域活性化手法の開発
中課題整理番号:211a.3
予算区分:基盤、委託プロ(担い手)
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:山本淳子、梅本雅、松本浩一

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