都市農業地域の生ごみの堆肥化とリサイクル運営のポイント


[要約]
都市農業地域の生活者と農業者が連携した生ごみの堆肥のリサイクルシステムを形成するには、生産物のフィードバックがポイントとなる。両者の交流により、ごみ処理意識の向上と販路の確保が可能となり、農業理解の促進とリサイクル活動の継続につながる。

[キーワード]有機性資源、リサイクル、都市農業、生ごみ堆肥化

[担当]神奈川県農技セ・経営情報研究部
[代表連絡先]電話:0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・経営
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
神奈川県内のごみの排出量の約40%が生ごみであり、廃棄処理量の削減対策への関心が高まっている。地域住民から排出される生ごみ等の有機性資源の堆肥化をすすめ、都市農業地域における農地に還元して有効利用を図るリサイクルの仕組みを提案するため、実際に活動に取り組んでいる類型を異にする団体の実態調査と内容の分析を行い、リサイクルシステムの成立要件を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 家庭生ごみの堆肥化とその農業利用を行う県内の代表的な2事例と、事業系の生ごみを市民農園に利用する新規の1事例について、運営者への聞き取り調査と、活動参加者のグループインタビューを実施すると、有機性資源の堆肥化と農地への利用の流れは図1のとおりとなる。いずれも排出源において一次処理を行った後に回収し、二次処理を行っていることがわかる(表1)。
2. 生ごみ堆肥の農業利用では、参加者への新鮮な農産物の供給体制の構築が活動を継続するためのポイントとなる。参加者は、ごみ排出量を実感すると共に、農業者との交流会や農業体験によりリサイクルや有機資源活用についての意識向上が見られる(表2)。
3. 市民農園利用では、運営者が堆肥による土作りを実施すると共に、農業者が栽培指導を行うことにより、技術指導が作物の良好な生育と収穫に結びつき、有機性資源の有効性が実証されることで、農園周辺の農家への利用が拡大する。新鮮な農産物の収穫は参加者の満足度を高め、リピータの確保と運営の安定化につながる(表2)。
4. 各団体には生ごみの資源化から農業利用までの活動全体を把握・運営している人材が存在し、リサイクルの円滑な運営のキーマンとなる。有機性資源リサイクルの課題として、堆肥製造では一次処理時の不純物の混入防止と効率の良い回収方法、農地利用では利用者の拡大があげられる。リサイクルシステムの構築には、排出者と利用者の両者の理解、生ごみ処理事業の有効活用および農地利用の促進による、環境と農政事業の活用が必要である(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 生ごみの堆肥化と農業利用へのポイント、運営への留意点等をとりまとめ、リサイクルに新たに取り組む際の参考資料としてリーフレットを作成した。
神奈川県農業技術センターHPよりダウンロードできる(pdfファイル)。
http://www.agri-kanagawa.jp/nosoken/keiei/2009/mottorecycle200907.htm

[具体的データ]

図1 有機性資源の排出源別、農地利用別のリサイクルの流れ

表1 有機資源の排出源別、活動主体別の堆肥化の行程

表2 堆肥の利用形態別の運営の特徴と効果

表3 リサイクル行程別の課題とリサイクルシステムの成立要件

[その他]
研究課題名:食品残さ等の効率的堆肥化技術の開発と施用基準の策定
予算区分: 実用技術開発事業
研究期間:2007〜2008年度
研究担当者: 鈴木美穂子、竹本稔(神奈川農技セ)

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