安価な組立式の水田湛水深測定水位計


[要約]
組立式の水位計は、磁歪(わい)式変位プローブ(以下、プローブ)とフロートを組み合わせて10万円以下である。コンパクト、シンプルな部品構成かつメンテナンスが容易で環境変化に強く、計測誤差1mm以下の高精度で3ヶ月の長期間計測が可能である。

[キーワード]水位計、安価、組立式、湛水深、磁歪式、高精度

[担当]愛知農総試・環境基盤研究部・農業工学グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
水田の水管理技術、農業用水の水需要動向に関する調査では、水位計を使用した用水量ならびに排水量の現地計測が必須である。現在、愛知県の水田農業では、農地の高度利用技術として、不耕起V溝直播栽培における深水無落水栽培の効果検証を行っており、減水深の正確な計測データが必要である。また、近年は行政での水利権の交渉場面において、用水量についてのより正確な実測値が求められている。現在市販されている水位計は、高価(12〜19万円:本体+データロガー)であり、この中にはメーカーによる定期的なメンテナンスが必要な製品も含まれる。カタログ上での計測精度は±0.5%FSの製品もあるが、水田内での計測では濁水、水草、温度変化等、正確な水位計測を阻害する要因が多い。このため、高精度な水位計を開発して、正確かつ安定した計測技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 水位計本体の大きさは全長約600mm、外径50mmであり、防水型の磁歪式変位プローブと磁石を組み込んだフロートにより水位計測を行う(写真1)。コンパクト、シンプル、容易なメンテナンス、正確な計測値の4項目をクリアする構造である。
2. 水位計を構成する部品は単体で購入でき、10万円以下である(表1)。計測部は、深水管理の計測に対応した水位検知幅0〜400mmのプローブ、安定した浮力が得られる球形φ42.5mmのフロートを組み合わせる。プローブを保護する塩ビ製パイプ(VU50mm、全長520mm)の下部には、水位検知を敏感に行うためのスリット(幅5mm、長さ50mm)を入れ、継手にはプローブを固定するための穴開け加工を施す。各々の部品は接着する必要がなく、ねじ込み、はめ込みにより組み立てる。記録部は、コントローラ、リレーを組み込んだプレヒート回路(計測時だけプローブに通電)ならびにデータロガーで構成され、プローブから出力される電流を電圧に変換して記録する。
3. 水田内での水位計の設置は、本体をピンポールに固定して、小型の水平器を使用して垂直に立てる(写真2)。計測部は、発砲スチロール性の計測箱に入れて防水対策を行う。
4. メンテナンス時は、保護管からプローブおよびフロートを簡単に取り外すことができる(写真2)。水草、ゴミの付着状況を容易に確認することができ、また現地に設置した保護管の標高は変化しないので、プローブの設定水位も変化せず、即計測が再開できる。
5. 水稲生育初期における水中の土粒子、残さ等のごみ、夏期に繁茂するアオミドロ類、シャジクモ等の水草によるフロートの作動不良は生じない。水田の水温変化19.6〜37.6℃の影響も受けず、計測値とスケールによる実測値との差は、-0.4〜0.9mmである(図1)。
6. プレヒート時間は2秒に設定することにより安定した計測が可能であり、アルカリ単3電池8本および同単4電池4本で、3ヶ月(測定間隔10分の場合)作動する。

[成果の活用面・留意点]
1. 用水計画の基礎調査、用水量の把握など多方面に活用できる。
2. 計測中は、1ヶ月に1回程度、フロートの作動確認と保護管内の点検(ごみ、水草の確認と除去)を行う。

[具体的データ]
写真1 水田たん水深測定水位計(GW1型) 写真2 設置とメンテナンス状況

表1 部品構成

図1 実証試験結果

[その他]
研究課題名:かんがい排水改良技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:横井久善

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