重粘土大区画ほ場における籾殻充填弾丸暗渠の大豆の湿害低減効果


[要約]
排水不良ほ場では、籾殻充填弾丸暗渠により降雨時の表面水や作土層余剰水を迅速に排水できる。重粘土大区画転換畑における湿害低減対策として有効で、大豆の生育環境が改善され増収が期待できる。

[キーワード]重粘土大区画ほ場、大豆、湿害低減、籾殻充填弾丸暗渠、排水効果

[担当]新潟農総研・基盤研・土壌基盤チーム
[代表連絡先]電話:0258-35-0826
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
大豆の生育環境を改善するためには、降雨時の表面水や作土層余剰水の迅速な排水が重要であり、重粘土大区画ほ場に適応する湿害低減技術を明らかにする必要がある。そこで籾殻充填弾丸暗渠を中心とした排水技術の効果を実証解明する。

[成果の内容・特徴]
1. 籾殻充填弾丸暗渠は、弾丸暗渠施工時の掘削部に籾殻を充填できる作業機械を用いて施工間隔4m、深さ30pで、本暗渠に直角交差して作土層下に施工する(図1)。
2. 籾殻充填弾丸暗渠を施工すると、地表水が速やかに本暗渠に排出され、湛水解消時間は1日程度早まる。また、耕盤上湛水深、地下水位の低下量や暗渠排水率が増加し、排水性が大幅に向上する(図2)(表1)。
3. 籾殻を充填しない場合は施工後1〜2年でスリット部が閉塞し排水機能が低下するが、籾殻充填弾丸暗渠は畑転換中の3年間は排水機能が持続する。
4. 排水不良ほ場では、籾殻充填弾丸暗渠施工にともなう排水性の向上によって低収傾向が改善され、地域内平均収量と比べて増収が期待できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. この試験は、上越市の大区画ほ場(強グライ土 田川統)で畝立て播種して大豆を栽培した。
2. 本施工機械は既存の振動サブソイラーを改良したものであるが、市販されている同機能のもので施工可能である。
3. 施工コストについては、現場ごとに作業条件等が異なるため一概に言えないが、図1を目安にできる。
4. 本暗渠の排水機能が低下しているほ場では籾殻充填弾丸暗渠の効果が不十分な場合がある。

[具体的データ]
図1 籾殻充填弾丸暗渠断面図(3年経過時断面)と施工機械・作業時間

表1 排水効果(上越Kほ場 2008)

表2 施工による収量の変化

図2 耕盤上湛水深(上越Kほ場 2009)
[その他]
研究課題名:根圏環境の改善と生育診断による北陸産大豆の多収栽培技術の開発
予算区分:公募
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:佐藤昭彦、廣川雄一、阿部栄登、樋口泰浩

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