家畜が籾や玄米を消化しやすくするための飼料用米破砕機


[要約]
そのまま給与すると家畜が消化しにくい飼料用米の籾や玄米を、能率良く破砕して消化しやすくできる装置。破砕程度は、粒径2mm以下から籾殻剥離程度まで可変であり、黄熟期の籾、乾燥籾、玄米まで処理可能である。能率は粒径2mm以下で約1.4t/hである。

[キーワード]飼料用米、籾、玄米、破砕

[担当]中央農研・バイオマス資源循環研究チーム(関東飼料イネ研究チーム)
[代表連絡先]電話:029-838-8909
[区分]共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・作業技術、畜産草地、共通基盤・総合研究
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
飼料用の米を籾や玄米のままで牛や豚に給与すると、消化しにくいため未消化のまま排泄される問題があり、何らかの加工処理が必要と考えられる。しかし、高温高圧蒸気圧ぺん機のような従来の装置は大掛かりで導入費用が高く、処理料もかかるという問題があった。そのため、導入費用が安く簡便に破砕できる装置の開発が求められている。

[成果の内容・特徴]
1. 本装置は、特殊形状のロール(特許公開中)を用いたダブルロールミル方式(逆方向に回転する2つのロールの間で材料を破砕する)により、効率的に籾・玄米を破砕できる(図1表1)。また、試料の流量を制御するためのシャッタを備える。
2. 籾や玄米は、ダブルロールミルを通過することによって破砕作用を受ける(図2)。玄米では、ロール間隙を通過する際に圧縮力とせん断力とを受けて子実が破砕される。籾では、籾殻は剥離して2〜数片に分離し、子実は玄米同様に破砕される。破砕程度は、ロール間隙を0.2〜2mmまで調節することによって、大半が粒径2mm以下となる程度から、2.36mmメッシュを通過しない粒の割合が65%以上となる程度(籾では籾殻剥離の程度)まで可変である(図3)。
3. 作業方法は、ベルトコンベア等で連続的に補給、ホッパ内に材料がなくならないように人力で時々補給、或いはホッパ上部にフレコンバッグで吊り下げて補給する等の方法で行える。破砕された材料は、装置下部から側方へ排出される。能率は、籾・玄米ともに粒径2mm以下となる条件で約1.4t/hである。
4. 運転時消費動力は約2kW(燃料消費率は、ガソリンエンジンの場合処理量トン当たりガソリン0.38リットル、時間当たり0.66リットル)であり、一般的な高温高圧蒸気圧ぺん機(能率10〜15t/h)の約150kWに比べると、トン当たりでは約1/7である。減価償却費を含めたコストは、年15tの処理で10円/kg以下と、高温高圧蒸気圧ぺん機と同等となる。軽トラックの荷台に積載して運搬が可能で、移動・設置が容易である。

[成果の活用面・留意点]
1. 飼料用米を簡易に破砕して供給するコントラクター、畜産農家等での利用に適する。
2. 2009年9月より販売開始された。動力はガソリンエンジンと電気モーター(三相200V、2.2kW)から選択できる。
3. 家畜への給与に関するデータは蓄積中であり、例えば新潟農総研の実験結果では牛への給与において破砕処理によって可消化エネルギーが40%程度向上した。これは高温高圧蒸気圧ぺん機による方法と比べて遜色ない。
4. 黄熟期の籾等、水分が30%程度以上の籾を処理する際は、破砕ロール間への試料のつまり防止のため、シャッタを操作して流量を徐々に増加させていく必要がある。

[具体的データ]
図1 飼料用米破砕機の外観 表1 飼料用米破砕機の諸元
図2 破砕前後の籾・玄米の外観(品種:「モミロマン」) 図3 破砕玄米の粒径分布(水分15%時)
[その他]
研究課題名:関東地域における飼料イネの資源循環型生産・利用システムの確立
中課題整理番号: 212b.3
予算区分: 委託プロ(えさ)
研究期間:2008〜2009年度

研究担当者:重田一人、喜田環樹、松尾守展、小川増弘(日本農業研究所)
発表論文等: 1)重田ら(2009),農業機械学会誌 71(6):123-131
  2)重田ら「飼料イネの籾破砕装置」 特許公開2007-68499

目次へ戻る