部分マルチ施工機を用いたキャベツ栽培における雑草抑制


[要約]
雑草が多発する水田転換畑における8〜9月定植のキャベツ栽培の雑草抑制のため、1畦2条タイプの移植部分だけにマルチを施工できる機械を開発した。部分マルチと非選択性茎葉処理剤の畦間処理を組み合わせて行うことで、雑草を抑制できる。

[キーワード]キャベツ、雑草、部分マルチ、非選択性茎葉処理剤、畦間処理

[担当]三重農研・経営植物工学研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6359
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
本県の水田作経営は近年規模拡大が進み、一部の農家は家族経営から雇用労力と葉菜類を組み込んだ複合経営へと変化しつつある。転換畑で葉菜類が作付けできる透水性の良い圃場は限定されるため連作に近い形で作付けられる。このような圃場は、雑草が多発することが多く効率的な防除方法が求められている。そこで株際の部分をマルチで被覆しその他の部分を非選択性茎葉処理剤の畦間処理で抑草する。

[成果の内容・特徴]
1. 部分マルチ施工機は、1畦2条用の畝立て機の後部に取り付ける。樹脂製の直径20cmの作溝輪で開口部幅5cm深さ8cmのV字型の溝を付け、その中にマルチの裾をマルチ押さえ(直径20cm厚さ6mmの塩ビ製ディスク)で押し込んで覆土板で土をかける方式である。畦立てと同時に1条当たり幅約20cmの2条分にマルチをかけることができる(図1)。
2. 使用するマルチフィルムは1条分が幅35cmで、ホルダから支持ローラを経てマルチ押さえによって溝の中に押し込まれる。支持ローラは、1条当たり3個配置しその直径は中央が7.5cm、左右が5cm、幅は2.5cmの樹脂製でている。中央部の直径を大きくしマルチにたわみをもたせて裾を押し込む時に発生する横方向への過度の引っ張りを軽減する(図1)。
3. マルチ使用量は、畦全体にかける通常の場合に比べて約半分になる。
4. 畦立てマルチ作業速度は、0.3〜0.5m/sで、移植作業ではマルチ対応の移植機が使用できる(図3)。また、畦中央部への追肥中耕も可能である。
5. 部分マルチ+中耕+非選択性茎葉処理剤の畦間処理で慣行の土壌処理剤+中耕+手取り除草+茎葉畦間処理と同程度に抑草できる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. マルチ施工機は、フィルムがある程度伸びること利用しているので、伸びが少なく破れやすいマルチでは使用できない。また、地温上昇を抑えるために白黒マルチの使用が望ましい。
2. マルチ使用量は、半分になるが、白黒マルチは高額であるため部分施肥等の省資材技術を組み合わせてコスト上昇を抑える必要がある。
3. 高温時の移植のため活着時に灌水の必要があるがマルチの植え穴からの灌水になるため水量が不足する場合がある。
4. マルチの植え穴からの雑草が問題になる場合には手作業又は土壌処理剤で対応する。

[具体的データ]
図1 部分マルチ施工機・施工状況
図2 マルチ、畦形状、畦間処理イメージ 図3 移植状況
表1 除草効果
[その他]
研究課題名:大規模水田経営体における露地野菜定着のための野菜作除草技術の確立
予算区分: 県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者: 中西幸峰

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