乳牛の乾乳期間を40日に短縮しても分娩状況、乳生産性、繁殖性に影響しない


[要約]
乾乳期間を40日に短縮した乳牛群を通常乾乳(乾乳期間60日)した乳牛群と比較したところ、分娩状況、乳生産性、繁殖性に差はなく、搾乳期間延長分の乳生産量が増加する。

[キーワード]乳牛、乾乳期間短縮、40日、分娩状況、乳生産性、繁殖性

[担当]岐阜畜研・酪農研究部
[代表連絡先]電話:057-356-2769
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
乾乳期間は従来から60日間が推奨されているが、近年のホルスタイン種の泌乳能力が飛躍的に向上したため、分娩60日前でも20kg/日以上の乳量があり、乾乳期間を再検討する必要が生じている。
 乾乳期間の短縮が出来れば搾乳期間延長による乳生産量の増加が見込まれる。また分娩後の泌乳曲線の平準化も示唆されており、その結果として分娩後の疾病発生の低減や繁殖成績向上の可能性もある。
 そこで乾乳期間の短縮が分娩状況、泌乳成績、繁殖成績等に与える影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 供試牛は5県の研究機関飼養の2産以上かつ分娩予定60日前に約20kg泌乳のホルスタイン種経産牛である。乾乳期間を40日に設定した牛群21頭(試験区)と乾乳期間を60日に設定した牛群20頭(対照区)とで、分娩状況、乳生産性、繁殖性等について比較検討する。乾乳期間中の飼料給与は日本飼養標準に基づき行うが、試験区は乾乳期間全期を通し乾乳後期の基準で行う。
2. 乾乳前の産乳成績は両区に差はない。実乾乳期間は試験区40.7日、対照区61.4日である。試験区における乾乳期短縮による搾乳期間延長分(乾乳前3週間)の乳生産量は325kgである(表1)。
3. 試験区と対照区で分娩難易度、子牛生時体重、母牛の初乳の比重、IgG濃度に差は無い(表2)。
4. 分娩後43週乳量、乳成分については両区に差はない。最高乳量、最高乳量到達日についても差はなく泌乳曲線への影響は無いと考えられる(表3)。
5. 初回発情までの日数、受胎率等に差はない(表4)。
6. 分娩前後の飼料摂取状況、疾病の発生状況や血液性状(GLU、BUN、GOT、NEFA等)の推移に大きな差はなく、健全性にも影響しないと考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1. 乾乳期間を短縮する乳牛の飼養管理に活用できる。
2. 短縮した乾乳期全期を乾乳後期の飼料で飼養しても大きな問題がないことから、乾乳牛管理に係る労力の軽減が期待できる。
3. 得られた成果は通常乾乳する時期に中程度のボディコンディションで、約20kgの日乳量がある2産以上の経産牛によるものである。
4. 初産の乳牛についてはさらに検討が必要である。

[具体的データ]

表1 乾乳前泌乳成績など

表2 分娩状況

表3 産乳成績

表4 繁殖成績

[その他]
研究課題名:生涯生産性の向上を目指した乳牛の乾乳技術に関する研究
予算区分:県単
研究期間:2006〜2009年度
研究担当者:吉村義久、丸山朝子(千葉畜総研)、村中洋美(千葉畜総研)、山科一樹(富山畜研)、生田健太郎(兵庫淡路農技セ)、時田康広(熊本農研畜産研)、加藤和雄(東北大院農)、田鎖直澄(北海道農研)、寺田文典 (畜産草地研)

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