高泌乳牛群における卵巣機能障害の発生と泌乳成績及び血液性状との関係


[要約]
高泌乳牛群では、約50%の牛に卵巣機能障害(卵胞嚢腫等)が発生する。卵巣機能障害と認められる牛は、日乳量が多く、乳脂率、蛋白質率、無脂固形分率が低く、さらに生乳のアルコールによる凝集反応において陽性を示す傾向がある。

[キーワード]高泌乳牛、超音波画像診断、卵巣機能障害、泌乳成績、アルコール不安定乳

[担当]栃木酪試・酪農技術部・繁殖技術研究室
[代表連絡先]電話:0287-36-0428
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
近年、乳用牛の飼養管理技術の高度化に伴い泌乳成績は向上した反面、受胎率などの繁殖成績は低下している。そこで、フリーストール牛舎でTMR給与により管理している高泌乳牛群において、卵巣機能障害の発生状況と泌乳成績、栄養状態及び血液性状との関係について明らかする。

[成果の内容・特徴]
1. TMR給与(乾物中TDN74.1%,CP14.9%,NDF34.9%)により管理している栃木県酪農試験場の高泌乳牛群(33頭、平均乳量38.4±2.2kg/日、BCS3.17±0.04、平均搾乳日数155±16.5日、平均値±標準誤差)において、超音波画像診断により卵巣機能を調査したところ、約半数(16頭、48.5%)に卵巣機能障害が認められる(表1)。
2. 正常な卵巣機能を有している牛17頭(以下、A群)と卵巣機能障害牛16頭(以下、B群)について乳成分を調査したところ、乳量はB群が多い傾向にあり、乳脂率、蛋白質率及び無脂固形分率はB群が有意に低い(表2)。
3. 血液性状は、項目により傾向が異なり、A群,B群間に有意な差は認められない(表3)。
4. 生乳のアルコール凝集反応を調査したところ、B群において陽性牛が多い傾向にある(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. フリーストール・TMR給与の高泌乳牛では、定期的な卵巣機能診断を行い、繁殖治療することが繁殖性改善において重要である
2. 卵巣機能障害牛は、繁殖治療するとともにアルコール不安定乳等の対策も必要である。

[具体的データ]

表1 卵巣機能所見

表2 卵巣機能障害の有無による産乳成績

表3 卵巣機能障害の有無による血液性状

表4 アルコール不安定乳の発生状況

[その他]
研究課題名:高泌乳牛の繁殖性改善に関する試験
予算区分:県単
研究期間:2009年度
研究担当者:星一美、新楽和孝、川野辺章夫

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