トウモロコシサイレージを用いた低蛋白TMRは高泌乳牛の飼料として有用である


[要約]
高泌乳牛にトウモロコシサイレージを用いた低蛋白TMR(粗蛋白質含量14%)を給与した場合、泌乳初期において低い乳中尿素窒素(MUN)値を示すが、乳生産に影響を及ぼさず、さらに飼料コストの低減が可能である。

[キーワード]粗蛋白質(CP)、TMR、乳中尿素窒素(MUN)、飼料コスト低減

[担当]栃木酪試・酪農技術部・飼養技術研究室
[代表連絡先]電話:0287-36-0768
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
これまでの研究で、泌乳最盛期に給与するTMRの粗蛋白質含量を14%程度にする場合、ルーメン微生物の増殖効率を高める飼料構成にすることで、優れた泌乳成績が得られることが知られている。
 一方、飼料自給率の向上を図る上で、青刈りトウモロコシの増産は重要な推進方策であり、トウモロコシサイレージを用いた飼料給与を検討することは必要不可欠である。  そこで本研究では、自給粗飼料としてトウモロコシサイレージを利用した低蛋白TMRが泌乳最盛期の高泌乳牛に給与可能であるかを検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 初産牛4頭および経産牛8頭の計12頭に試験飼料をTMRで給与する分娩後13週間の飼養試験を実施する。試験区はトウモロコシサイレージを用い、かつ粗蛋白質(CP) が14%となる低CP区(経産牛4頭、初産牛4頭)、対照区(経産牛4頭)はトウモロコシサイレージを用いず、粗飼料が輸入乾草のみでCPが16%となる区とし(表1)、合計3区とする。
2. 乳中尿素窒素(MUN)は分娩後1週目を除き低CP・初産区、低CP・経産区が有意に低い。また、低CP・経産区は分娩後6週まで一般的な基準値(8〜15mg/dl)を下回るが、分娩後10週まで徐々に増加する傾向にある(図1)。
乳量(13週平均)は、低CP・経産区と対照区の間に有意な差は認められない(表2)。
3. ルーメン液性状のうちアンモニア態窒素濃度が低CP・初産区、低CP・経産区ともに有意に低い。同様に、血液性状のうちBUN濃度が低CP・初産区、低CP・経産区ともに有意に低い(表2)。
4. 乳飼比は、対照区と比較して低CP・初産区、低CP・経産区において有意に低い (表3)。
5. 以上の結果より、自給粗飼料であるトウモロコシサイレージを用いた低蛋白TMRを給与するとMUNは基準値よりも低値を示すが、乳生産に影響を及ぼさずに高泌乳牛を飼養することが可能である。

[成果の活用面・留意点]
1. トウモロコシサイレージを有効に活用した飼料設計の参考となる。
2. 今後、繁殖性の調査を行う必要がある。

[具体的データ]
表1 供試飼料の成分含量および混合配合 表2 産乳成績等

図1 乳中尿素窒素濃度の推移

表2 生産費

[その他]
研究課題名:フリーストール牛舎における低蛋白TMRを用いた飼養技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:藤田大輔、舘野綾音、室井章一

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