乳牛における分娩前の乳汁性状と乳房炎の関連性


[要約]
分娩前の乳汁性状がアメ状である場合、乳房炎原因菌の分離率が低く、免疫グロブリン(IgG1)およびラクトフェリン濃度が高い。乳汁の粘ちょう度が低い場合は、乳房炎原因菌の分離率およびα1酸性糖蛋白濃度が高く、潜在性乳房炎を反映する。

[キーワード]乳用牛、乳房炎、分娩前、乳汁性状

[担当]静岡畜研・安全生乳プロジェクトスタッフ
[代表連絡先]電話:0544-52-0146
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
近年、分娩前の乳汁性状はアメ状、初乳様および水様の3種類に分類され、アメ状が正常に濃縮された乳汁であることが報告されている。そこで、分娩前の乳汁性状ごとに細菌検査および生化学検査を実施し、併せて分娩後の乳房炎発症および前産次の乳房炎罹患歴を調査して、疫学的な検討を実施する。

[成果の内容・特徴]
1. 静岡県内の1酪農場で飼養されているホルスタイン種経産牛19頭を対象に、分娩7〜14日前と分娩日に末梢静脈血および分房ごとの乳汁を採取し、一般血液検査および血清タンパク電気泳動、乳汁性状の分類(アメ状、初乳様、水様)、分離菌同定、免疫グロブリン(IgG1、IgG2)、ラクトフェリン(Lf)、α1酸性糖タンパク(α1AG)測定を実施する。また、分娩後の臨床型乳房炎の発症と前産次の乳房炎罹患歴を調査する。
2. 一般血液検査および血清タンパク電気泳動については、分娩前乳汁性状との関連は認められない。
3. 乳汁性状ごとの乳房炎起因菌分離率は分娩前、分娩後ともに初乳様および水様がアメ状より高い(P < 0.01)(表1)。主な分離細菌はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌、レンサ球菌等である。
4. 分娩後の臨床型乳房炎発症率は水様14%、初乳様11%、アメ状6%であるが、有意差は認められない(表1)。
5. 分娩前の乳中IgG1およびLf濃度はアメ状、初乳様、水様の順に高く、逆に急性炎症の指標であるα1AGは水様で最も高く、アメ状で最も低い(図1)。
6. 前産次の乳房炎罹患歴と乳汁性状に関連は認められない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 細菌感染及び炎症の有無により分娩前乳汁の性状は異なり、粘ちょう度の低い乳汁は潜在性乳房炎を反映するので、乳汁性状検査は分娩後の乳房炎発症予測の指標となる。
2. 分娩前は乳房内感染が起こりやすい時期であるため、採材時の感染予防に留意する。

[具体的データ]
表1 分娩前乳汁の性状と乳房炎原因菌分離率
図1 分娩前乳汁の性状と生化学検査
表2 分娩前乳汁の性状と乳房炎罹患歴

[その他]
研究課題名:乾乳期検査に基づく乳房炎治療法の確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:檀原麻実、赤松裕久、小柳寿文、板垣昌志(NOSAI山形)

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