黒毛和種における血液凝固第XI因子(F11)遺伝子型が各種形質に及ぼす影響


[要約]
黒毛和種繁殖雌牛や子牛のF11遺伝子多型と繁殖雌牛の初産分娩月齢、子牛の生時体重に関連があるかを検討する。F11遺伝子型と黒毛和種の繁殖雌牛の初産分娩月齢、子牛の生時体重に関連はみられない。

[キーワード]黒毛和種、血液凝固第XI因子欠乏症(F11)、初産分娩月齢、生時体重

[担当]岐阜県畜研・飛騨牛研究部
[代表連絡先]電話:0577-68-2226
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
血液凝固第XI因子(F11)は内因性凝固活性に関する血液凝固因子で、ウシではホルスタイン、黒毛和種で遺伝的欠乏症が報告されている。臨床症状として、鼻出血、発情時過剰出欠、術後の出血等が報告されているが、ほとんど症状を示さないことが多い。遺伝的欠乏症牛はプロトロンビン時間が正常、活性化部分トロンボプラスチン時間が延長することが報告されている。しかし、出血時間は正常である。黒毛和種での F11欠乏症は、F11遺伝子のエキソン9における15塩基の挿入による変異遺伝子に起因していることが明らかになっている。さらに、F11変異遺伝子は黒毛和種に広く蔓延していることが報告されている。ホルスタイン種ではF11欠乏症と繁殖性との関連性が示唆されている。F11変異遺伝子の蔓延状況や、F11遺伝子型と経済形質との関連を調査することは、本疾患における今後の対応を考える上で重要である。特定農場において、黒毛和種のF11遺伝子型と繁殖成績、子牛の生時体重との関連を調査する。

[成果の内容・特徴]
1. F11遺伝子型はPCR法により、簡易に正確に診断することが可能である(図1)。
2. 変異型ホモの個体である繁殖雌牛、子牛とも臨床的異常は見られない。
3. 繁殖雌牛の初産分娩月齢においてF11遺伝子型間に有意な差は見られない(表1)。
4. 子牛の分娩時体重においてもF11遺伝子型間に有意な差は見られない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. F11 の変異遺伝子型は牛群に広く蔓延しているが、本疾患は臨床的に目立った症状を示さないことから、経済的に大きな損失をもたらすことはないと思われる。
2. ただし、F11遺伝子型と各種経済形質との関連は不明な点も多く、今後もさらに多くの形質について、F11遺伝子型との関連を、継続して調査する必要がある。

[具体的データ]
図1 F11遺伝子型電気泳動像
表1 F11遺伝子型と初産分娩月齢との関連
表2 F11遺伝子型と子牛生時体重との関連
[その他]
研究課題名:飛騨牛の生産性を阻害する遺伝子の解明
予算区分: 県単
研究期間:2009〜2011年度
研究担当者:小林 直彦、松橋 珠子、坂口 慎一、国枝 哲夫(岡山大学)

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