全粒乾熱圧片大豆給与により乳中共役リノール酸が増加する


[要約]
泌乳中期の乳牛の飼料に乾熱圧片大豆を12%添加し、粗脂肪含量を5%程度とすることで、乳生産に支障をきたすことなく乳中機能性脂質が高まる。

[キーワード]共役リノール酸、乳生産、乾熱圧片大豆、綿実、泌乳中期

[担当]愛知農総試・畜産研究部・牛グループ 、栃木酪試・酪農技術部、千葉畜総研・乳牛研究室、東京農総研・生産技術科、畜草研・分子栄養研究チーム、日大・日大生物資源科学部
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
牛乳中に含まれる共役リノール酸、特にルメニン酸(C18:2 c9t11)が抗ガン作用等の機能性を有することから、その共役リノール酸含量を給与飼料により制御する取り組みが進められている。中でも油実は脂肪分に富み、ルーメン微生物に対する毒性も低いと考えられていることから、牛乳中の共役リノール酸含量の制御が期待できる。そこで、多価不飽和脂肪酸組成の異なる油実を加え、粗脂肪水準を高めた飼料の給与により、ホルスタイン種乳牛の生産性を維持しながら乳中ルメニン酸を増加させる飼養管理法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 4公立試験場所(愛知農総試、栃木酪試、東京農総研、千葉畜総研)の泌乳中期の経産牛24頭を供試し、1期3週間の3×3ラテン方格法により3種のTMRを給与する。表1に示したとおり、給与飼料のTDNを75〜77%、粗蛋白質を15%程度とし、試験区では油実として、全粒乾熱圧片大豆を12%(大豆区)、または、全粒綿実を12%(綿実区)配合する。油実を多給した飼料の粗脂肪含量は5%とする。
2. 飼料中粗脂肪含量5%程度であれば、油実を多給しても乳生産に悪影響はない。綿実を多給した区では乳中尿素態窒素(MUN)値が有意に高かったが、暫定基準値の上限(15mg/dl)以下である(表2)。
3. 油実を多給することにより、乳中脂肪酸組成のうちC8〜C16の飽和脂肪酸は対照区と比較して有意に低下する(表3)。
4. 特に乾熱圧片大豆を多給した区においては、乳中脂肪酸組成のうち、トランスバクセン酸、リノール酸、リノレン酸、およびルメニン酸が対照区に比較して有意に増加する(表3:大豆区)。
5. 以上から、乾熱圧片大豆の給与によって乳生産に支障をきたすことなく乳中機能性脂質が高まる。

[成果の活用面・留意点]
1. 共役リノール酸増加により付加価値を高めた牛乳生産手段の一つとなる。
2. 長期の飼養試験による泌乳初期での乳生産および繁殖性の評価が必要である。

[具体的データ]
表1 飼料組成及び飼料中成分含量
表2 乳生産
表3 乳中脂肪酸組成
[その他]
研究課題名:牛乳の付加価値を高める飼養管理技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2006年度
研究担当者:佐藤 精、高久未来(栃木北家保)、藤田大輔(栃木酪試)、田村哲生(東京農総研)、西川潤(千葉畜総研)、梶川博(日大生物資源科学部)、竹中昭雄(国際農林水産業研究センター)、大橋秀一

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