牛胚性判別時の変性細胞利用による胚へのダメージ低減技術


[要約]
低ランク胚等で形の明瞭な変性細胞が5個以上得られる場合は、牛胚性判別時にLAMP反応の濁度値をモニターしながら、変性細胞を利用した性の判定が可能であり、受胎性を優先した胚へのダメージ低減が図れる。

[キーワード]低ランク胚、変性細胞、ダメージ低減、牛胚性判別、LAMP法、濁度測定

[担当]三重畜研・家畜改良繁殖担当
[代表連絡先]電話:0598-42-2194
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
LAMP法による牛胚性判別時には栄養外胚葉の10%以上を用いる事を推奨しているが、本法の性判別キット開発時の検出感度評価試験では2〜3細胞で95%以上、4細胞で100%の検出感度結果が得られている。
 一方、時間と経費をかけて供胚牛から採取した胚は、希望する性であれば品質の良否に関わらず利用者との合意のもとに、できるだけ移植し子牛生産に結びつけたいと考える。
 そこで、性判別による胚の損傷を低減するために、低ランク胚等で形の明瞭な変性細胞が認められる胚は、これを積極的に利用し、濁度値のモニターによる反応の把握と、判別どおりの子牛生産が可能かを検証する。

[成果の内容・特徴]
1. 雄雌が明確に判別され、性が一致する子牛も得られている正常な増幅反応群の濁度値は、サンプル量の多少(図1の細胞量区分参照)に比例せず、変性細胞利用等、質の違いによる値の差異や相関も認められない(図1)。
2. 性判別に利用するサンプルの種類が、栄養外胚葉あるいは変性細胞でも、判定不能割合に相違はない。
 また、変性細胞のみ利用区を抽出し、利用した量別に判定状況を比較すると、判定不能群は少量の変性細胞利用例の割合が高くなる(図2)。
3. バイオプシー操作時に、胚への損傷低減を図る目的で変性細胞を利用して性判別を実施し、濁度値が正常値を示す場合、判定どおりの性を持つ子牛生産が可能である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本技術により、性判別低ランク胚の保存性や受胎性の向上が可能である。 また、人為的透明帯切開により透明帯脱出時のエネルギー損耗を軽減できる。
2. 変性細胞が少ない場合は、これに加えて栄養外胚葉の少量採取(キット開発時の検出感度評価試験で100%検出できた4個程度)することにより、判定精度を確保できる。

[具体的データ]

 図1 サンプルの質及び量の違いによる濁度値の変動比較

図2 サンプルの質及び変性細胞利用時の量別判定状況

表1 性判別由来胚の変性細胞利用状況

[その他]
研究課題名:高付加価値胚作出技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:水谷将也、島田浩明

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