飼料用米(玄米)は採卵鶏飼料のトウモロコシを全量代替できる


[要約]
飼料用米で採卵鶏飼料のトウモロコシを全量代替しても生産性には影響はないが、卵黄色、卵黄の脂肪酸組成及び鶏卵の食味に変化が見られる。

[キーワード]採卵鶏、飼料原料、飼料用米、鶏卵品質

[担当]群馬畜試・中小家畜係
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
飼料の自給率向上に向け飼料用米の増産が推進されているが、この飼料用米を採卵鶏飼料に活用するため、国内に普及している主要な採卵鶏2鶏種に対し、を給与し、生産性及び鶏卵品質への影響について調査する。飼料の自給率向上に向け飼料用米の増産が推進されているが、この飼料用米を採卵鶏飼料に活用するため、国内に普及している主要な採卵鶏2鶏種に対し、を給与し、生産性及び鶏卵品質への影響について調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 飼料用米(無粉砕)で採卵鶏飼料に約60%配合されているトウモロコシを全量代替しても、生産性には影響がない(表1)。
2. 飼料用米の配合割合が増えるとともに、卵黄色が淡い黄色となり、カラーファンの値も低下する。なお、卵殻強度やハウユニットには影響は認められなかった(表1)。
3. 飼料用米を給与すると、卵黄の脂肪酸組成が変化し、リノール酸が減りオレイン酸が増加する。多価不飽和脂肪酸n-6/n-3比も米0%では12:1程度なのが、60%配合すると8:1程度に改善する(図1)。
4. 飼料用米給与卵の食味は、味覚センサー(味覚認識装置)による評価でも変化が確認でき、トウモロコシ主体飼料の卵に比べさっぱりした味になる(図2)。これは、脂肪酸組成の変化が関与しているためと考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1. 飼料用米はトウモロコシを代替することで採卵鶏飼料に活用できる。
2. 飼料用米を給与した鶏から生産された卵は、卵黄色、脂肪酸組成がトウモロコシを主体とした飼料と異なることから、鶏卵の差別化、高付加価値化が可能になる。
3. 飼料用米は品種や栽培条件により栄養成分が異なるので、必要に応じて他の飼料原料で微調整し、成分(CP、ME、Ca、P等)を同等とする。

[具体的データ]
表1 試験成績
図1 卵黄の多価不飽和脂肪酸n=6/n-3 図2 味覚センターによる評価
[その他]
研究課題名:飼料用米をトウモロコシの代替とした卵用鶏飼料の開発
予算区分:県単
研究期間:2009年度
研究担当者:後藤美津夫、信岡誠治(東京農大)

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