トリプトファンの給与による豚群編成時の闘争低減


[要約]
肥育豚の体重30kg時の群編成前に、トリプトファンを給与すると、群編成時の闘争を減らすことができる。

[キーワード]豚、トリプトファン、群編成、闘争低減

[担当]群馬畜試・中小家畜係
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
養豚経営は規模拡大や企業化が進み、畜舎の利用率向上を図るため、肥育豚の体重を揃えたり、雌雄を別飼育するなど多頭飼育のための群編成が発育に応じて行われている。しかし、群編成時に起こる激しい闘争は豚にとって大きなストレスとなり、受傷による疾病感染や発育の遅延が起こり、死亡に至ることもある。
 そこで、家畜の攻撃性の抑制やストレスの緩和作用がある脳内物質セロトニンの前駆体である必須アミノ酸トリプトファンを給与し、群編成による闘争や闘争で受ける傷を低減することで肥育豚の損耗を防止する。

[成果の内容・特徴]
1. 群編成は、平均日齢61日、平均体重30kg の肥育豚4〜6腹を、それぞれの腹毎に性別および体重を均等に2群に分け、一方の群には群編成前にトリプトファンを給与し、試験区と対照区、それぞれ面積10.8m2の新たな豚房に8頭を1群として編成した。
2. 要求量の4倍のトリプトファンを群編成前7日間給与することにより、群編成時の闘争時間は半減する(図1)。
3. 要求量の2倍のトリプトファンを群編成前3日間給与することにより、群編成時の闘争により受ける「出血を伴う2cm以上の傷」は半減する(表1)。
4. 要求量の2倍のトリプトファンを群編成前3日間給与することにより、群編成1日後の体重及び飼料摂取量の減少が抑えられる傾向がある(P=0.055)。ただし、群編成から試験終了までを通しての1日平均増体重及び飼料要求率については差がない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 群編成時の闘争による傷が減少することにより、疾病感染のリスク軽減が期待できる。
2. 飼料に添加するトリプトファンは4,000円/kg程度、体重20〜30kg時に日本飼養標準・豚(2005年版)による要求量の2倍量を3日間給与するには9gが必要であり、その価格は36円/頭程度となる。

[具体的データ]
図1 肥育豚の群編成後における闘争時間
表1 肥育豚の闘争による傷の数
表2 肥育豚の1日平均増体重(g)、飼料摂取量(g/日)及び飼料要求率
[その他]
研究課題名:機能性物質の添加による豚のストレス軽減技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:櫛渕隆之、小材幸雄
発表論文等: 1)櫛渕、小材(2009)群馬畜試研報、(15):46-53
2)櫛渕、小材(2009)群馬畜試研報、(16):37-45

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