高タンパク質・高脂質エコフィードの豚の肥育前期用飼料への応用


[要約]
高タンパク質・高脂質エコフィードを15、30%の割合で配合し、豚の肥育前期に給与しても、発育、肉質などには影響しない。

[キーワード]高タンパク質・高脂質エコフィード、肥育豚、発育、肉質、脂質

[担当]千葉畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話:043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
低・未利用食品残さの利用技術の開発を目的として、家畜用飼料では利用が困難とされている高タンパク質・高脂質の食品残さ由来エコフィードを、給与飼料が肉質や脂質に影響を与えないと報告されている豚の肥育前期に給与し、応用が可能かを検討する。

[成果の内容・特徴]
1. コンビニエンスストアから排出される消費期限切れの食品のうち高タンパク質・高脂質の素材を加熱乾燥処理したもの(乾物中の割合:CP(19.3%)、Cfat(20.8%))を、飼料原料に0%、15%、30%の割合で配合する。
2. 配合割合により3区(対照区、15%区、30%区)を設け、各区LWD雌5頭、去勢7頭を供試する。飼育方法は単飼で不断給餌、自由飲水とする。
3. 30kg到達時から1週間馴致期間を設け、その後70kgまで試験飼料を、70kg以降は全区市販肥育後期用配合飼料を給与し、110kgに到達した個体からと畜調査を行う。
4. 1日増体量、肥育期間、飼料要求率に肥育前期、後期とも各区間に差はみられない (表1)。
5. と体成績および肉質成績はロース芯の肉色のL値において15%区が30%区より低い値を示すが、その他の調査項目では3区間に有意な差はみられない(表2表3)。
6. 内層脂肪の融点3区間に差はみられず、正常値の範囲内である(表4)。脂肪酸組成は対照区と比較し30%区でパルミチン酸が低い値を示し、オレイン酸が高い値を示す(p<0.05)(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 高タンパク質・高脂質エコフィードの上乗せ給与では発育遅延がみられるが、一般的な市販配合飼料と栄養水準が同レベルになるように配合することにより、豚の肥育前期用飼料として利用可能である。

[具体的データ]
表1 発育成績
表2 と体成績
表3.肉質成績
表4.内層脂肪の融点と脂肪酸組成
[その他]
研究課題名:低・未利用食品残さの高度利用技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者:赤木友香、松本友紀子、高橋圭二、鈴木邦夫、村野多可子

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