アルファ化米およびブロイラー用飼料による東京うこっけいの肉質への影響


[要約]
採卵を終えた東京うこっけいにアルファ化米を通常飼料と混合給与すると、もも肉のn-6系列脂肪酸であるリノール酸の割合が低くなる。

[キーワード]烏骨鶏、肉質改善

[担当]東京都農総研・畜産技術科
[代表連絡先]電話:0428-31-2171
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
東京うこっけいは、産卵能力に優れた系統であり、広く都内農家に普及しているが、廃鶏処分にコストがかかることが問題となっている。そこで、採卵終期の東京うこっけいにブロイラー用飼料および消費期限切れアルファ化米を給与して肉質改善を図り、烏骨鶏肉の利用を目指す。また、烏骨鶏肉で加工品を試作して消費者にアピールするとともに、ニーズを反映させた肉生産を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 450日齢の東京うこっけい雌鶏15羽に、通常の採卵用飼料(対照区)、採卵用飼料と消費期限切れアルファ化米を1:1で混合したもの(アルファ米区)を8週間給与し、飼養成績および肉の成分を分析した。また、ブロイラー仕上げ用飼料(ブロイラー区)を4週間給与し、同様の調査を行った。
2. 対照区、アルファ米区、ブロイラー区の精肉歩留りに差はない(表1)。またいずれの試験区においても、顕著な増体は見られない(表1)。
3. 精肉の一般成分について分析した結果、各試験区の水分および粗タンパク質量に差は見られない。粗脂肪含有率はいずれの区も個体差が大きく有意差はないが、ブロイラー区がやや高い傾向である(図1)。
4. 各試験区のもも肉の脂肪酸組成を比較したところ、アルファ米区は対照区およびブロイラー区よりもn-6系列脂肪酸であるリノール酸が有意に低いが、n-6/n-3比は最も高い(表2)。
5. 烏骨鶏肉でハムを試作し、一般消費者を対象に食味アンケートを実施した結果、味やかおりについては好評であるが、販売予定価格が高価なため(980円/150g)、改善の要望が多い。
6. ブロイラー区における試験期間中の生産卵は、給与開始から1〜2週間で卵黄色、卵殻厚、卵殻強度が対照区よりも低下する(データ記載なし)。

[成果の活用面・留意点]
1. ケージ飼育における成績である。
2. 消費期限切れアルファ化米は東京都より無償提供のため、飼料費の低減が可能。
3. ブロイラー用飼料の給与は卵質低下が認められるため、この間生産された卵の販売には注意が必要。

[具体的データ]
表1 450日齢東京うこっけい雌鶏の飼養成績
図1 各試験区のもも肉脂肪含有率

表2 各試験区もも肉の脂肪酸組成
[その他]
研究課題名:東京うこっけいの肉利用
予算区分:都単
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者:鈴木亜由美
発表論文等:東京都農林総合研究センター成果情報

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