産卵後期のフィッシュカルシウム(FCa)給与による卵殻質の改善


[要約]
カツオ中骨から精製されるフィッシュカルシウム(FCa)を産卵後期において飼料中に添加することで、産卵成績に影響なく卵殻強度を改善できる。

[キーワード]産卵鶏、フィッシュカルシウム、卵殻質

[担当]静岡畜研中小・養鶏研究スタッフ
[代表連絡先]電話:0537-35-2291
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
産卵後期における卵殻質改善の有効な手段として、絶食による強制換羽が広く行われている。しかし、絶食処理はアニマルウェルフェアに配慮した飼育法が検討される中で、その趣旨になじまないという指摘もある。我々はこれまでの事前検討において、ラットにおいてカルシウム吸収率を増加するフィッシュカルシウム(FCa)の飼料添加が、基礎飼料およびカキガラ添加に比べ卵殻質を改善する効果があるという結果を得ている。
 そこで、産卵後期の卵殻質改善のため、絶食による強制換羽処理、低栄養飼料給与により換羽を誘導する方法、およびFCaを鶏の飼料中に添加するそれぞれの方法について、産卵と卵殻質に及ぼす影響を無処理の対照区と比較検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 市販の白色レグ系コマーシャル産卵鶏の産卵後期に、(1)2週間絶食した後に成鶏用飼料を自由摂取させる区(絶食区)、(2)育成用後期飼料を1日1羽当たり50gで3週間給与した後に成鶏用飼料を自由摂取させる区(低栄養区)、(3)FCaをカルシウム量として0.3%飼料中に添加して自由摂取させる区(FCa 区)、及び無処理の対照区に分け、単飼ケージにて538日齢から705日齢までの168日間、産卵と卵質に及ぼす影響について調査する(表1)。
2. FCaはカツオの中骨から精製される乾燥粉末で、主な成分は灰分、タンパク質、カルシウムである(表2)。
3. 産卵成績は、絶食区では飼料摂取量が有意に少ないが、飼料要求率は対照区より劣る。低栄養区では産卵率、飼料要求率で対照区より劣るが、FCa区はすべての項目で対照区と差が見られない(表3)。
4. 卵殻強度と卵殻厚ともに絶食区、FCa区、低栄養区が対照区より優れ、FCa区の卵殻強度は絶食区に次いで優れる。ハウユニットは絶食区、低栄養区が他の区より優れる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 供試したFCaはヒト用のサプリメントで、単価が1,000円/Kgであるため、一羽当たり粗収益はFCa区が他の区より少ない。
2. FCa区の産卵率が高かったためにハウユニットが低下したのではないかと思われる。

[具体的データ]
表1 試験区分
表2 FCaの成分分析
表3 産卵成績
表4 卵殻質成績(全期間)
[その他]
研究課題名:鶏の生理特性に応じた産卵調整技術
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:池谷守司、松井繁幸、望月一男(静岡県工業技術研究所)

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